老犬に車椅子を使うことに対して、「かわいそうではないかな」「本当にメリットがあるのかな」と迷っていませんか。
私も最初はかなり迷いました。言葉が理解できない動物に対して体に器具をつけることへの懸念もありましたし、値段も安くありません。何より、19歳の老犬に無理をさせてしまうのではないかという不安がありました。
でも実際に使ってみると、我が家の場合はメリットの方がとても大きかったです。
車椅子は、老犬を無理に歩かせる道具ではなく、「まだ残っている力を使って、自分で動く時間を作るためのサポート」になることがあります。
この記事では、19歳の老犬に車椅子を使って感じたメリットや、導入前に迷ったこと、実際に使って分かった注意点を、体験談を交えてまとめます。
※獣医療系の資料、獣医師さん監修の老犬介護情報、犬用車椅子サービスの公式情報などを参考にしながら、飼い主目線で分かりやすくまとめています。参照元はこちら。
この記事でわかること
- 老犬に車椅子を使うのはかわいそうなのか
- 19歳柴犬に車椅子を使って感じたメリット
- 車椅子を導入する前の不安
- 車椅子を使い始めた初日と1週間後の変化
- 老犬の生活リズムや夜の睡眠への影響
- 車椅子を検討するタイミング
- 使う前に注意したいこと
老犬に車椅子はかわいそう?我が家では「もっと早く使えばよかった」と感じました
結論から言うと、老犬に車椅子を使うこと自体は、かわいそうなことではないと思います。
もちろん、嫌がっているのに無理に乗せ続けたり、体に合わない車椅子を使ったりするのは負担になります。すべての老犬に合うわけでもありません。
でも、愛犬に合った車椅子を、無理のない範囲で使えるなら、老犬の生活をかなり前向きに変えてくれることがあります。
うちの19歳柴犬は、車椅子を使う前、後ろ足がかなり弱っていました。立ち上がれない。立ててもすぐ転ぶ。尻もちだけでなく、前のめりに倒れることも増えていました。
日中も横になって寝ている時間が長くなり、朝・夕・晩に介助ハーネスで散歩に連れて行っても、少しずつ歩けなくなっているのが分かりました。
夜も大変でした。
添い寝して寝かしつけても、夜中に何度か起きてもがき、そのたびに支えながら歩かせていました。こちらも眠れない日が続き、かかりつけの先生に相談して、犬用の軽い睡眠導入剤を使ったこともあります。
食欲や水分補給も落ちてきて、「もうダメかもしれない」と思う日もありました。
そんな状態で車椅子を使い始めたところ、我が家では、犬の生活リズムも、飼い主側の介護負担も大きく変わりました。

車椅子を購入する前に迷っていたこと
車椅子を買う前は、かなり迷いました。
主に不安だったのは、次の3つです。
- 体に異物をつけることで、違和感があってかわいそうではないか
- 本当に歩けるのか
- 値段が高く、合わなかった時が不安
特に大きかったのは、「かわいそうではないか」という気持ちです。
動きを制限してしまうのではないか。犬にとっては邪魔なのではないか。人間側が楽をしたいだけなのではないか。
そんなふうに考えて、なかなか踏み切れませんでした。
ただ、実際には、車椅子は動きを奪うものではなく、うちの子にとっては「動ける時間を取り戻す道具」になりました。
もちろん、これはあくまで我が家の場合です。性格や体の状態によって合う・合わないはあるので、迷う場合はかかりつけの獣医師さんや、車椅子の製作者さんに相談しながら進めるのが安心です。
我が家が選んだのは、顔を支えるパーツ付きの3輪タイプ
うちの子は、認知症のような症状でグルグル歩きたがる、いわゆる「グル活」がありました。
また、背中がだいぶ曲がっていて、顔が下がりやすく、地面についてしまうこともありました。後ろ足だけでなく、最近は前足も弱ってきていたため、後ろ足だけを支える2輪タイプでは不安がありました。
そのため、顔を支えるパーツ付きの3輪タイプを選びました。
犬用車椅子には、後ろ足を支える2輪タイプ、体全体を支えやすい4輪タイプ、あご乗せや顔まわりのサポートがあるタイプなどがあります。
どれが正解というより、「今の愛犬の状態に合っているか」が大切です。
前足がしっかりしている子なら2輪タイプが合うこともありますし、前足や体幹も弱っている子なら、4輪やあご乗せ付きの方が合う場合もあります。
詳しい選び方やレンタルについては、こちらの記事でもまとめています。


車椅子を使った初日|不思議そうにしながらも歩き始めた
初めて車椅子に乗せた時、うちの子は少し不思議そうにしていました。
「これは何?」という感じで、最初は脚を探るように動かしていました。
でも、しばらくすると、なんとなく歩けるようになりました。
そしてその後は、部屋の中を嬉しそうに動き回っていました。
もちろん、最初から完璧に乗りこなせたわけではありません。方向転換もぎこちなかったですし、見守りは必要でした。
それでも、自分の意思で脚を動かし、前に進んでいる姿を見た時は、「車椅子の決断をして、よかったかもしれない」と思いました。
そして、その日はよく動いたからか、夜にぐっすり寝てくれました。
これが、我が家にとってはかなり大きな変化でした。
1週間後|慣れてよく動くようになった一方で、見守りも必要に
1週間ほど経つと、車椅子にも慣れてきて、かなりよく動くようになりました。
ただ、うちの子は目が見えません。なので、障害物によく当たってしまい、そのたびに鳴いて呼ばれるようになりました。
元気になっている証拠ではあるのですが、今までよりも頻繁に呼ばれる場面も増えました。
そこで、できるだけ手放しで安全にグルグル回れるように、丸いフラフープ状のものに前輪の片方だけを引っかけて、一定の範囲で回れるように工夫しました。
この方法がすべての犬に合うわけではありませんが、うちの子の場合は、グル活したい気持ちと安全面のバランスを取りやすくなりました。
また、車椅子に乗ったまま昼寝してくれることも増えました。
体に合っていて、本人が落ち着けるなら、車椅子は「歩くため」だけでなく、「立った姿勢で過ごすため」のサポートにもなるのだと感じました。

老犬に車椅子を使って感じたメリット
ここからは、実際に使って感じたメリットをまとめます。
あくまで我が家の19歳柴犬の場合ですが、同じように足腰の弱りや夜の介護で悩んでいる方には、参考になる部分があると思います。
犬の生活リズムが整えやすくなった
一番大きかったのは、日中に犬自身が動ける時間が増えたことです。
車椅子を使う前は、日中も横になって寝ていることが多く、夜になると起きてもがいたり、歩きたがったりすることがありました。
でも車椅子で日中にある程度動けるようになると、夜に寝てくれやすくなりました。
老犬の夜鳴きや昼夜逆転は、原因がひとつではありません。認知症、痛み、不安、排泄、体調不良など、いろいろな要因があります。
ただ、うちの子の場合は、「日中に動く時間を作ること」が夜の落ち着きにつながったように感じています。
現在は、今のところ犬用の睡眠導入剤を使わなくても過ごせています。
薬の使用や中止は自己判断せず、必ず獣医師さんに相談してください。我が家でも、薬についてはかかりつけの先生に相談しながら進めました。
老犬の夜鳴きや夜寝ない悩みについては、こちらの記事でもまとめています。


飼い主側も睡眠が取りやすくなった
犬の生活リズムが整いやすくなったことで、飼い主側も眠れる時間が増えました。
老犬介護で一番つらいことのひとつは、眠れないことだと思います。
夜中に何度も起きる。転んでいないか気になる。もがくたびに支える。寝かしつけても、また起きる。
これが続くと、気持ちも体もかなり削られます。
車椅子を使い始めてからは、夜起きたとしても、車椅子に乗せて少しグルグルすると、そのまま落ち着いて寝てしまうことがあります。
「また朝まで眠れないかもしれない」という不安が少し減っただけでも、介護する側としては大きな違いでした。
介護用品を使って飼い主が少し楽になることに、罪悪感を持つ必要はないと思います。
飼い主さんが眠れることは、愛犬にやさしく向き合うためにも大切です。
老犬介護で疲れている時はこちらも参考にしてください。

犬が生き生きとした
車椅子を使って一番嬉しかったのは、犬が生き生きとしたことです。
足腰が弱ってくると、どうしても「できないこと」が増えていきます。
立てない。歩けない。行きたい場所に行けない。寝ている時間が増える。
見ている側もつらいですが、犬自身も思うように動けないことに戸惑っていたのではないかと思います。
車椅子に乗って、自分で脚を動かして進む姿を見ると、「まだ動きたいんだな」と感じました。
もちろん、若い頃のように元気に走るわけではありません。
それでも、自分で動ける時間があるだけで、表情や雰囲気が少し変わったように感じました。
「かわいそうかな」と迷っていた車椅子が、うちの子にとっては、自分で動く喜びを取り戻すきっかけになりました。
車椅子で老犬の散歩を続ける考え方については、こちらもどうぞ。

体力が少し戻ったように感じた
車椅子で足腰を動かす時間が増えたからか、車椅子なしの状態でも、また少し歩けるように感じる場面がありました。
これがリハビリ効果なのか、日による体調の違いなのかは分かりません。
ただ、獣医療系の資料でも、歩行が難しくなった犬に対して、状態に合った運動やリハビリが筋力維持や生活の質の維持に役立つ可能性があることは紹介されています。
特に変性性脊髄症のような病気では、理学療法や運動管理が生活の質に関わる可能性があるとされています。
ただし、車椅子を使えば足腰が回復する、病気がよくなる、という意味ではありません。
痛みがある場合や、急に歩けなくなった場合、麻痺やナックリングがある場合は、まず動物病院で相談してください。
老犬の足腰の弱りについてはこちらも参考にしてください。


食事中の誤嚥予防にも役立っている
車椅子を使ってよかったと感じていることのひとつに、食事中の誤嚥予防があります。
獣医師さんからも、車椅子で体を起こし、正しい姿勢で食べることで誤嚥を防ぎやすくなると聞きました。
うちの子も、以前は食事中にむせることが増えていました。足腰が弱って起き上がりにくい時期は、食べる姿勢を保つこと自体が難しく、見ていて不安になることもありました。
でも車椅子に乗って立った姿勢で食べられるようになってからは、以前よりもむせる回数が減っています。
もちろん、車椅子を使えば必ず誤嚥を防げるという意味ではありません。むせる、咳き込む、呼吸が苦しそう、食欲が落ちているなどの症状がある場合は、自己判断せず獣医師さんに相談することが大切です。
それでも我が家では、車椅子は「歩くため」だけでなく、「安全に食べる姿勢を支える道具」としても役立っています。
老犬の誤嚥対処と食事姿勢の見直しはこちら。

老犬の車椅子は、もっと早く使ってもよかったかもしれない
実際に使ってみて、今は「もう少し早くから使い始めてもよかったかもしれない」と感じています。
車椅子というと、完全に歩けなくなってから使うものというイメージがありました。
でも、足が弱り始めた頃のサポートとして、短時間だけ使う。リハビリのように使う。散歩の一部だけ使う。
そういう使い方もできたのかもしれません。
歩けなくなってから慌てて導入するより、まだ少し力が残っているうちに慣れておく方が、犬にも飼い主にも負担が少ない場合があります。
もちろん、早ければ早いほどいいという意味ではありません。
まだ痛みの原因が分かっていない時や、安静が必要な時期に自己判断で使うのは避けたいです。
ただ、次のような状態が出てきたら、車椅子を「将来の選択肢」として調べ始めてもいいと思います。
- 後ろ足が弱って、立ち上がりにくい
- 歩きたい気持ちはあるのに、すぐ転ぶ
- 散歩中に座り込むことが増えた
- グルグル歩きたいのに、途中で倒れる
- 介助ハーネスだけでは支えるのが大変になってきた
- 寝ている時間が増え、日中の活動量がかなり落ちた
「買うかどうか」は後で考えても大丈夫です。
まずは獣医師さんに相談する。車椅子のレンタルを調べる。写真や動画で専門店に相談してみる。
それだけでも、いざ必要になった時に慌てずに済みます。

車椅子を使う時に注意したいこと
車椅子はメリットの多い道具ですが、使い方には注意も必要です。
最初は短時間から慣らす
最初から長時間使うのではなく、短時間から始めるのがおすすめです。
犬にとっては、突然体に知らない道具がつく状態です。
怖がる子もいますし、固まって動かない子もいます。
最初は「歩かせる」よりも、「車椅子に乗っても大丈夫」と思ってもらうことを優先した方がよいです。
体に当たる部分をこまめに確認する
老犬は皮膚が弱くなっていることがあります。
ベルトやフレームが当たる部分に赤みがないか、擦れていないか、痛がっていないかはこまめに確認したいところです。
特に長毛の子や、筋肉が落ちて骨ばってきた子は、見た目では分かりにくいこともあります。
室内環境を整える
室内で使う場合は、車椅子が通れるスペースを作る必要があります。
家具のすき間、段差、滑りやすい床、コード類、マットのめくれなどは、引っかかりやすいポイントです。
目が見えない子の場合は、ぶつかった時の衝撃にも注意が必要です。
うちの子も目が見えないため、障害物に当たることがありました。使う場所をある程度限定したり、回れるスペースを作ったりする工夫が必要でした。
滑り止め対策はこちらでもまとめています。

車椅子の老犬に滑り止め靴を使った体験談はこちらにまとめています。

留守番中のつけっぱなしは慎重に
個人的には、留守番中に車椅子をつけっぱなしにするのは慎重に考えた方がいいと思います。
どこかに引っかかる、疲れても休めない、転倒してもすぐ助けられない、ベルトが擦れても気づけないなどのリスクがあるためです。
車椅子は、基本的には目が届く時間に使う方が安心です。
医療的な判断は獣医師さんに相談する
車椅子は介護用品であり、治療そのものではありません。
急に歩けなくなった、痛がる、足を引きずる、ナックリングがある、呼吸が苦しそう、食欲が落ちているなどの場合は、まず動物病院で相談してください。
老犬の歩行トラブルは、老化だけでなく、椎間板ヘルニア、関節疾患、神経疾患、脳の病気、内臓疾患などが関係していることもあります。
「年だから仕方ない」と決めつけず、今の状態で車椅子を使ってよいか確認しておくと安心です。
まとめ|老犬の車椅子は、かわいそうではなく「動ける時間」を作る選択肢になる
老犬に車椅子を使うことは、決してかわいそうなことではないと思います。
少なくとも我が家の19歳柴犬にとっては、車椅子は「無理に歩かせる道具」ではなく、「自分で動ける時間を作る道具」でした。
車椅子を使ったことで、日中に動く時間が増え、夜に寝てくれやすくなり、飼い主側も少し眠れるようになりました。
そして何より、犬自身が生き生きと動く姿を見られたことが大きかったです。
もちろん、すべての老犬に合うわけではありません。
体に合わなければ負担になりますし、病気や痛みの状態によっては使わない方がよい場合もあります。
だからこそ、車椅子を検討する時は、獣医師さんや専門店に相談しながら、愛犬の状態に合うかを見ていくことが大切です。
でも、もし今「かわいそうかな」と迷っているなら、車椅子はかわいそうな道具ではなく、愛犬の残っている力を支える選択肢かもしれません。
もっと早く使えばよかった。
我が家では、今そんなふうに感じています。

参考文献・サイト
・老犬ケア相談デスク「車いすで変わる老犬の生活」
https://www.rouken-care.jp/column/20190522/
・わんケア「犬用車椅子の活用シーン」
https://www.wancare.jp/support/usage-scenarios.shtml
・Con tutti「犬用車椅子ってどんなもの?活用するタイミングとメリット」
https://www.contutti-petlife.com/2020/02/17/%E7%8A%AC%E7%94%A8%E8%BB%8A%E6%A4%85%E5%AD%90%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%81%A9%E3%82%93%E3%81%AA%E3%82%82%E3%81%AE-%E6%B4%BB%E7%94%A8%E3%81%99%E3%82%8B%E3%82%BF%E3%82%A4%E3%83%9F%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%81%A8%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%83%83%E3%83%88/
・GREEN DOG & CAT「シニア犬と元気に暮らす秘訣【第5回】インタビュー:車イスを使っているパートナーを訪ねました」
https://www.green-dog.com/feature/senior/20120108/
・ダイヤモンド・オンライン「犬の車いす工房が大人気、オーナーが伝授する『老犬介護のコツ』」
https://diamond.jp/articles/-/196825
・Cornell University College of Veterinary Medicine「Degenerative myelopathy」
https://www.vet.cornell.edu/departments-centers-and-institutes/riney-canine-health-center/canine-health-topics/degenerative-myelopathy


