老犬の緩和ケアとは?自宅でできること・薬・費用・余命の考え方まで

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「老犬の緩和ケアって、何をすること?」
「治療をやめるという意味なの?」
「家でできることはあるの?」

愛犬が高齢になり、癌や腎臓病、心臓病、食欲不振などが続くと、これからの治療や介護について迷うことが増えてきます。

我が家でも、まさにそうです。我が家の愛犬は19歳。心臓と腎臓の病気を抱えながら、今も生活しています。

19歳になってから体調を崩し、これまで続けてきた治療や食事について、「このまま同じことを続けていいのだろうか」と悩む時期がありました。

その時、獣医師さんから提案されたのが、治療だけを優先するのではなく、これからは「今のこの子が少しでも楽に、幸せに過ごせること」を大切にするという考え方でした。

私自身、その時に初めて「緩和ケア」というものを強く意識しました。

 

老犬の緩和ケアは、「治すことをあきらめるケア」ではありません。痛みや吐き気、呼吸の苦しさ、不安などをできるだけ減らし、その子らしく穏やかに過ごすためのケアです。

この記事では、19歳の愛犬と暮らす飼い主の目線で、老犬の治療をどこまでするか迷った時の考え方、緩和ケアと延命治療の違い、自宅でできるケア、看取りに向けて決めておきたいことをまとめます。

※私は獣医師ではありません。この記事は、19歳の老犬と暮らす飼い主の体験と、動物病院・獣医師さんの情報などを参考にしながらまとめたものです。薬・点滴・強制給餌などの判断は、愛犬の病気や状態によって大きく変わるため、必ずかかりつけの獣医師さんに相談してください。参照元はこちら。

この記事でわかること

・老犬の緩和ケアとは何か
・緩和ケアと延命治療、看取りの違い
・緩和ケアを考え始めるタイミング
・自宅でできる食事、水分、環境づくり
・薬や点滴、往診でできること
・緩和ケアの費用や余命の考え方
・飼い主が後悔しないために考えておきたいこと

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老犬の緩和ケアは「治す」より「苦痛を減らす」ためのケア

老犬の緩和ケアとは、病気や加齢に伴う痛みや吐き気などの苦痛をやわらげ、生活の質(QOL)をできるだけ保つためのケアです。

QOL(Quality of Life)とは、「生活の質」を意味します。

たとえば、

・痛みを薬でやわらげる
・吐き気を抑える
・食事や栄養のとり方を、その子の状態に合わせて工夫する
・水分補給をサポートする
・寝床を整える
・通院による負担を考慮し、自宅でできるケアを取り入れる
・自宅でできるだけ快適に過ごせる環境を整える

こうしたことが、老犬の緩和ケアに含まれます。

参照元:藤井動物病院「終末期動物医療科(緩和ケア)」、
一般社団法人往診獣医師協会「ペットの緩和ケアと終末期ケア」、
ワンペディア「犬の緩和ケア【獣医師解説】」

緩和ケアというと、「もう治療できない時の最後の手段」と感じるかもしれません。

でも実際には、病気が診断された時点や、治療の初期から取り入れられることもあります。病気の治療を続けながら、痛みや吐き気などの症状をやわらげるケアを同時に行うこともあります。

つまり、緩和ケアは「何もしないこと」ではありません。

その子の今の状態を見ながら、苦しさを減らすためにできることを選んでいくケアです。

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緩和ケアと延命治療・看取りの違い

緩和ケア、延命治療、看取り。

どれも老犬のこれからの治療やケアを考えるときに出てくる言葉なので、混乱しやすいと思います。

ざっくり分けると、次のように考えると分かりやすいです。

延命を目的とした治療は、できるだけ長く生きられる可能性を残すことを目的とした治療です。

緩和ケアは、痛みや不快感を減らし、できるだけ穏やかに過ごすことを目的にしたケアです。薬や点滴を使うこともありますが、目的は「できるだけ長く生きること」だけではなく、「苦痛を減らし、その子ができるだけ穏やかに過ごせる時間を増やすこと」にあります。

看取りとは、愛犬の最期の時間をどう過ごし、どう見送るかを考え、支えることです。最期をどこで過ごすのか、どのような処置を受けるのかなど、愛犬の最期について考えておくことも大切です。

どれが正解、どれが間違いという話ではありません。

「少しでも長く一緒にいたい」という気持ちも自然ですし、「もう苦しい処置は減らしてあげたい」と思うこともあるでしょう。

大切なのは、今の愛犬の状態と、家族が何を大事にしたいかを獣医師さんと話し合うことだと思います。

参照元:藤井動物病院「終末期動物医療科(緩和ケア)」、
一般社団法人往診獣医師協会「ペットの緩和ケアと終末期ケア」、
ワンペディア「犬の緩和ケア【獣医師解説】」

 

犬の看取りについては、こちらの記事でも詳しくまとめています。

犬の看取りで後悔しないために|最期の前兆と家でできる準備
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老犬の緩和ケアを考え始めるタイミング

緩和ケアを考え始めるタイミングは、ひとつではありません。

ただ、次のような変化が見られたら、緩和ケアも含めて、これからできることを獣医師に相談してみてもよいでしょう。

・がんや腎臓病、心臓病などの治療が続き、生活への負担が大きくなってきた
・積極的な治療の負担が大きくなってきた
・食欲が落ちてきた
・水をあまり飲まなくなった
・通院のたびにぐったりする
・以前より寝ている時間が増え、活動量が落ちてきた
・痛そう、苦しそうに見える
・呼吸が荒くなったり、息苦しそうにしたりする
・吐き気や嘔吐などの症状が続いている
・寝たきりに近くなってきた

こうした変化は、老犬の生活の質が低下しているサインのひとつになることがあります。特に痛みや呼吸の変化、食欲低下などが見られる場合は、自己判断せず獣医師に相談しましょう。

特に老犬の場合、通院そのものが大きな負担になることがあります。

若い頃は問題なくできていた車での移動や診察も、体力が落ちてくると大きな負担になることがあります。病気が進行すると、治療そのものだけでなく、通院による移動や病院で過ごすこと自体が消耗につながる場合もあります。

「病院に行くこと」と「家で穏やかに過ごすこと」のどちらが今の愛犬にとって負担が少ないのか。

ここは、年齢や病気の状態だけでなく、その子の体力や生活への影響を考えて判断する必要があります。

参考:藤井動物病院「終末期動物医療科(緩和ケア)」、
一般社団法人往診獣医師協会「ペットの緩和ケアと終末期ケア」、
ワンペディア「犬の緩和ケア【獣医師解説】」、
獣医師 江本宏平「通院が負担になるタイミングは、思っているより早く来る」

 

通院がつらくなってきた場合は、往診という選択肢もあります。

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老犬の緩和ケアで大切なのは「その子らしさ」を守ること

緩和ケアで大切なのは、ただ症状を抑えることだけではありません。

その子が好きだったことを、無理のない範囲で続けられるようにすることも大切です。

たとえば、

・抱っこが好きなら、短時間でも抱っこする
・外の空気が好きなら、カートや抱っこで少し外に出る
・日なたぼっこが好きなら、快適に過ごせる場所を作る
・食べることが好きなら、無理なく食べられる方法を考える
・家族のそばが好きなら、寝床を近くに置く

こうした小さな工夫も、老犬ができるだけ快適に過ごすためのケアになります。

参考:藤井動物病院「終末期動物医療科(緩和ケア)」、
一般社団法人往診獣医師協会「ペットの緩和ケアと終末期ケア」、
ワンペディア「犬の緩和ケア【獣医師解説】」、

 

我が家でも、獣医師と相談したうえで、ある時期からケアの方針を変えました。

「薬ももう無理に飲ませなくていい」
「食事制限もいったんやめよう」
「好きなものを食べて、まず体力を戻そう」

そう考えるようになったのです。

今まで制限していた肉類を少し取り入れ、茹でたささみや介護用のウェットフードを出すようにしたところ、少しずつ食べてくれるようになりました。

水もそのままでは飲みにくかったので、我が家ではささみの茹で汁を使うと飲んでくれることがありました。

もちろん、これはあくまで我が家の場合です。病気や治療内容によっては、食事制限や栄養管理が重要になるため、食事内容を変えるときは獣医師に相談することをおすすめします。

私自身、愛犬との経験を通して、老犬の緩和ケアでは「正しい食事を守ること」だけでなく、「その子が今、口にできるもの」や「食べることが苦痛にならない方法」を考えることも大切なのだと感じました。

 

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腎臓病の食事についてはこちらも参考にしてください。

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自宅でできる老犬の緩和ケア

老犬の緩和ケアは、病院だけで行うものではありません。

自宅で過ごす時間をできるだけ快適にすることも、大切な緩和ケアのひとつです。

ここでは、毎日の生活の中でできるケアを整理しておきます。

食べられるものを探す

老犬になると、食欲が落ちたり、食べにくくなったりすることがあります。

そんなときは、無理に食べさせるのではなく、「どうしたら少しでも食べやすくなるか」を考えてみましょう。

たとえば、

・フードを少し温めて香りを立たせる
・ウェットフードにする
・食べやすい大きさや柔らかさにする
・少量ずつ回数を分ける
・食べやすい方法で与える
・好きなトッピングを少量使う
・流動食を検討する

といった方法があります。

食事を温めて香りを立たせたり、肉の茹で汁などで風味をつけたり、ウェットフードや流動食などに形態を変えたりする方法は、ターミナル期の食事サポートとしても紹介されています。

参考:アニコム「どうぶつのターミナルケア(3)自宅で行うケア<食事のサポート>

 

ただし、腎臓病や心臓病、膵炎などの持病がある場合は、食事内容に注意が必要です。

特に療法食を食べている場合は、自己判断で食事内容を大きく変えるのではなく、「今の状態では、何をどこまで食べさせてよいか」を獣医師に相談しましょう。

一方で、終末期になると、これまでの食事を食べられなくなることもあります。

「栄養バランスの整った食事を食べさせなければ」と頑張りすぎるのではなく、愛犬の状態によっては、食べられるものを探すこと自体がケアになる場合もあります。

老犬向けの流動食については、こちらの記事でもまとめています。

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水分をとりやすくする

食欲と同じくらい悩みやすいのが、水分補給です。

老犬が水を飲まなくなると、脱水が心配になります。

まずは、自分で飲みやすい環境を作ることから考えてみましょう。

たとえば、

・水の器を近くに置く
・器の高さを調整する
・飲みやすい場所に器を移動する
・水の温度を変えてみる
・ウェットフードなどで水分を補う

といった工夫があります。

 

うちの犬は、水だけだと飲みにくい時期がありました。

そのときは、ささみを茹でたときの茹で汁をあげると、飲んでくれることがありました。

ただし、水分補給も多ければ多いほどよいわけではありません。

心臓病などの持病がある場合や、点滴を受けている場合は、水分量について獣医師の指示を確認しましょう。

また、飲み込む力が低下している場合は、シリンジなどで無理に水分を飲ませることが誤嚥につながる可能性もあるため、具体的な方法については獣医師さんに相談しましょう。

老犬が水を飲まないときの対策はこちらでも詳しくまとめています。

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寝床と生活環境を整える

老犬の緩和ケアでは、寝床や生活環境を整えることも大切です。

寝ている時間が長くなると、体の一部に圧がかかりやすくなり、床ずれの心配も出てきます。

また、足腰が弱くなると、フードや水、トイレまで移動するだけでも負担になることがあります。

できる範囲で、

・体圧を分散でき、体が沈み込みすぎない寝床にする
・水やごはんを近くに置く
・トイレまでの距離を短くする
・滑りにくいマットを敷く
・段差を減らす
・室温が安定した場所に寝床を置く
・愛犬が落ち着いて過ごせる場所を選ぶ

といった工夫をしてみてください。

寝床は、柔らかければよいというわけではありません。

硬すぎると体への負担になり、逆に柔らかすぎると体が沈み込んで動きにくくなることがあります。体圧を分散しながら、愛犬が楽な姿勢を保ちやすい寝床を選ぶことが大切です。

寝たきりに近い状態では、同じ姿勢が続かないように体位を変えるケアが必要になることもあります。

ただし、痛みがある場合や呼吸が苦しそうな場合などは、無理に動かさないほうがよいこともあります。体位変換の方法や頻度については、獣医師に相談しましょう。

参考:アニコム「どうぶつのターミナルケア(4)寝床の工夫と褥瘡の予防」

 

老犬の寝たきり介護についてはこちらでもまとめています。

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床ずれ対策はこちらも参考にしてください。

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体を清潔に保つ

緩和ケア中は、体調によっては全身を洗うこと自体が負担になる場合があります。

そのため、無理に全身をきれいにしようとするのではなく、汚れやすい部分を中心に、負担の少ない方法で清潔を保つことを考えてみましょう。

たとえば、

・蒸しタオルで拭く
・シャンプータオルを使う
・ドライシャンプーを使う
・お尻だけ部分洗いする
・オムツは汚れたらこまめに交換する

といった方法があります。

特に寝たきりに近い場合は、寝床や体を清潔に保つことも大切です。汚れた敷物をこまめに交換できるようにしておくと、介護の負担も減らせます。

「全身をきれいにする」ことよりも、「できるだけ負担をかけずに清潔を保つ」ことを優先してよいと思います。

参考:アニコム「どうぶつのターミナルケア( 7 ) 自宅で行うケア <身体の清潔を保つ>

 

老犬のシャンプーについてはこちらで詳しくまとめています。

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お尻だけ洗う方法はこちらです。

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そばにいることもケアになる

老犬の緩和ケアというと、薬や点滴、食事のことばかり考えてしまいます。

でも、愛犬が心地よく過ごせる時間を作ることもケアのひとつです。

いつもの声で話しかける。
背中をなでる。
抱っこする。
同じ部屋で過ごす。

特別なことをしなくても、飼い主さんが近くにいることで落ち着いて過ごせる子もいるでしょう。

ただし、病気や痛みの状態によっては、触ったり動かしたりすることが負担になる場合もあります。嫌がる様子があるときは無理をせず、その子が心地よく感じる距離や過ごし方を大切にしてください。

 

そして、もうひとつ忘れないでほしいのが、飼い主さん自身が休むことです。

もちろん、飼い主さんもずっと張りつめていると疲れてしまいます。

だからこそ、全部を完璧にしようとしなくて大丈夫です。

「今できることを、できる範囲で」

それくらいでないと、老犬介護は続けられません。

愛犬のためにできることを考えることと同じくらい、飼い主さん自身の体と心を休ませることも大切です。

 

呼吸を楽にする在宅ケアとして酸素室を検討する場合はこちら。

老犬に酸素室は必要?導入の目安・メリットデメリット・レンタル費用まで解説
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病院や往診でできる緩和ケア

自宅でできることも多い一方で、痛みや吐き気、呼吸の苦しさなどは、獣医師による診察や治療が必要になることがあります。

老犬の緩和ケアで、病院や往診で相談できることには、次のようなものがあります。

・痛みをやわらげる薬
・吐き気を抑える薬
・食欲をサポートする薬
・けいれんなどの症状を抑える薬
・皮下点滴などによる水分補給
・酸素療法
・床ずれや皮膚トラブルの処置
・呼吸が苦しいときの症状緩和
・急変時にどこまで治療するかの相談

緩和ケアでは、病気そのものだけを見るのではなく、愛犬が今どのような症状で苦しんでいるのかを見ながら、必要なケアを考えていきます。痛みや吐き気の管理、酸素療法、輸液などは、犬の状態に応じて緩和ケアの一環として行われることがあります。

参考:藤井動物病院「終末期動物医療科(緩和ケア)」、
ワンペディア「犬の緩和ケア【獣医師解説】」

薬の種類や使い方、必要な処置は、病気や体調によって大きく変わります。

たとえば、がんによる痛み、関節の痛み、腎臓病に伴う吐き気、心臓病に伴う呼吸の苦しさなど、症状や病気によって必要な対応は異なります。

「老犬だから仕方ない」と我慢させるのではなく、今ある痛みや苦しさを減らせる方法がないか、獣医師さんに相談してみてください。

通院が負担になったら「往診」という選択肢も

また、通院が負担になってきた場合は、往診が合うこともあります。

老犬になると、車での移動や待ち時間、診察台への乗り降りなど、それまで問題なくできていたことが負担になる場合があります。

自宅で診てもらえる往診なら、移動や待ち時間による負担を減らし、慣れた環境で診察を受けられる場合があります。

一方で、往診でできることと、病院でなければ難しい検査や処置もあります。

往診を利用する場合は、

・どのような診察や検査ができるか
・どのような処置に対応しているか
・夜間や休日に対応しているか
・急変したときはどこに連絡するのか
・病院での治療が必要になった場合はどうするのか
・費用はどのくらいかかるのか

などを、事前に確認しておくと安心です。

緩和ケアでは、「病院に通い続けること」だけが選択肢ではありません。

愛犬の状態や性格、通院による負担、家でどこまでケアできるかなどを考えながら、病院・往診・自宅でのケアを組み合わせていくことも選択肢のひとつです。

参考:一般社団法人往診獣医師協会「ペットの緩和ケアと終末期ケア」

 

老犬の緩和ケアにかかる費用の考え方

犬の緩和ケアにかかる費用は、犬の現在の状態と、診察や薬、点滴、検査、往診など、必要なケアに応じてさまざまな費用がかかります。

通院で薬を調整するだけの場合と、往診や点滴、酸素療法、頻回の診察などが必要な場合では、必要になる費用も変わってきます。

そのため、緩和ケアを始めるときは、遠慮せずに費用についても獣医師さんに相談していいと思います。

「できることは全部してあげたい」と思っても、費用や時間、家族の体力には限界があります。

緩和ケアでは、愛犬にとって何が必要なのかだけでなく、家族が無理なく続けられる方法かどうかも含めて考えることが大切です。

獣医師さんに相談するときは、

・今の状態で必要なケア
・優先順位が高いケア
・自宅でできること
・通院が必要なこと
・今後状態が変化した場合に必要になりそうなケア
・それぞれにかかる費用の目安
・急変した場合に必要になる可能性のある処置や費用

などを聞いておくと、家族でも話し合いやすくなります。

「できるだけ長く」なのか、「できるだけ苦痛を減らして穏やかに」なのか。

どちらを優先するかによって、選ぶケアが変わることもあります。

愛犬にとっても、家族にとっても無理のない方法を、獣医師さんと一緒に考えていくことが大切です。

参考:一般社団法人往診獣医師協会「ペットの緩和ケアと終末期ケア」

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緩和ケアを始めたら余命はどれくらい?

「緩和ケアを始めたら、余命はどれくらいですか?」

これは、飼い主としてどうしても気になることだと思います。

でも、緩和ケアを始めたからといって、「あと何日」「何週間」「何ヶ月」というように、余命を一律に予測することはできません。

同じ病気であっても、年齢や体力、食欲、呼吸状態、痛みの程度、持病などによって、病状の進み方や過ごせる状態は異なります。

また、緩和ケアそのものを、「余命を短くする」と考える必要はありません。

緩和ケアの目的は、病気そのものを治すことだけではなく、痛みや吐き気などの苦痛をやわらげ、できるだけ穏やかに過ごせるようにすることです。

痛みや吐き気などの症状がやわらぐことで、食べたり眠ったりできるようになり、その子が少しでも穏やかに過ごせる時間を増やせる場合があります。

一方で、緩和ケアは病気そのものの進行を止める治療ではないため、病状が少しずつ進行していくこともあります。

そのため、緩和ケアを考えるときは、「あと何日なのか」だけを見るのではなく、

今日、苦しそうではないか。
眠れているか。
少しでも食べられたか。
抱っこで落ち着けたか。
穏やかな時間があったか。

こうした目の前の時間を見ていくことも大切なのだと思います。

参考:一般社団法人往診獣医師協会「ペットの緩和ケアと終末期ケア」、
藤井動物病院「終末期動物医療科(緩和ケア)」

 

我が家でも、一時は「もうこのまま弱ってしまうのでは」と感じた時期がありましたが、その後に少しずつ体調が戻り、今は短い散歩に行ける日もあります。

もちろん、これから先のことは分かりません。

だからこそ、私は「あと何日なのか」だけを考えるのではなく、今日、少しでも楽に過ごせているか、眠れているか、食べられたか、穏やかな時間を過ごせたかを大切にしています。

これから先の時間を、私にとっては「ボーナスタイム」だと思って、好きなご飯と大好きな抱っこの時間を大切にしています。

 

強制給餌や点滴について

老犬が食べない、水を飲まない状態になると、飼い主としてはとても焦ります。

「何か食べさせなきゃ」
「点滴をしないと弱ってしまう」
「このままでいいのかな」

そう思うのは自然なことだと思います。

ただ、終末期に近い状態では、強制給餌や点滴が必ずしも愛犬にとって負担の少ない選択になるとは限りません。

強制給餌は、回復が見込める段階での一時的な栄養補給など、状態によっては有効な方法です。

一方で、終末期では、飲み込む力が低下している場合に誤嚥のリスクが高まったり、食べること自体が体の負担になったりすることがあります。

そのため、食べないからといって、必ずしも無理に食べさせればよいとは限りません。

点滴も、脱水をやわらげたり、体調を支えたりするために行われることがあります。

一方で、心臓病や胸水・腹水などがある場合には、水分の量や投与方法に注意が必要になることがあります。過剰な輸液が呼吸状態に影響する場合もあるため、自己判断で点滴の量や頻度を変更するのは避けましょう。

大切なのは、「食べさせるか、食べさせないか」「点滴するか、しないか」だけで考えないことです。

今の状態で、その処置によって何を目指すのか。

たとえば、

・回復を目指すためなのか
・苦痛を減らすためなのか
・できるだけ長く過ごすことを目指すためなのか
・その処置による負担はどの程度なのか

こうした点を獣医師さんと一緒に確認しておくと、判断しやすくなります。

強制給餌や点滴を「する・しない」の二択だけで考えるのではなく、今の愛犬にとって、その処置で何を目指すのか、どのくらいの負担があるのかを理解したうえで選ぶことが大切です。

参照元:
往診専門動物病院 わんにゃん保健室「終末期のペットがご飯を食べなくなったら」
ライト動物病院「点滴による犬のターミナルケア|脱水の緩和ケアにできることとは」
一般社団法人 往診獣医師協会「ペットの緩和ケアと終末期ケア」

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飼い主が決めておきたいこと

緩和ケアを考える段階になると、愛犬の治療や過ごし方について、家族で考えておきたいことが増えてきます。

考えたくないことも多いですが、少し元気があるうちに家族で話しておくと、いざという時に慌てにくいと思います。

たとえば、

・どこまで検査をするか
・入院治療をするか
・通院が難しくなったら往診にするか
・食べなくなった時に強制給餌をするか
・点滴をどこまで続けるか
・呼吸が苦しくなった時にどうするか
・家で看取るか、病院で看取るか
・急変時に夜間救急へ行くか

などです。

方針は柔軟に変わっていくものだと思います。

最初は「できる限り治療したい」と思っていても、愛犬の負担が大きくなれば、緩和を中心としたケアに変えることもあります。

逆に、愛犬の状態が変われば、その時点で方針を見直すでしょう。

その時々で愛犬の状態を見ながら、家族にとっても無理のない方法を考え直していきましょう。

 

大切なのは、飼い主だけで答えを出すことではなく、愛犬の状態や家族の希望を獣医師さんに伝え、一緒に方針を考えていくことだと思います。

参照元:
一般社団法人 往診獣医師協会「ペットの緩和ケアと終末期ケア」
アニコム損保「どうぶつのターミナルケア(1)ターミナルケアとは<犬>」
往診専門動物病院 わんにゃん保健室「終末期のペットがご飯を食べなくなったら」

 

犬が亡くなった後のことについては、こちらの記事でもまとめています。

犬が亡くなったらやること|亡くなった後の処置・病院連絡・市役所手続きまで
犬が亡くなったらまず何をすればいいのか、亡くなった後の処置・安置方法・病院への連絡・市役所での死亡届まで、飼い主さんの気持ちに寄り添いながら解説します。

また、ペットの最期に向き合うためのサポートを提供しているホームページです。大切なペットを安らかに見送るために、参考にしてみてください。

自宅でペット火葬はできる?訪問火葬の流れと費用までまるわかりガイド |東京でペット火葬なら虹の羅針盤 ペットメモリアル東京西

 

老犬の緩和ケアで後悔を減らすために

老犬の緩和ケアでは、何を選んでも迷います。

薬を続けても、やめても迷います。
点滴をしても、しなくても迷います。
食べさせても、食べさせなくても迷います。
病院に連れて行っても、家で見守っても迷います。

たぶん、まったく後悔しない選択は難しいのだと思います。でも、後悔を少しでも減らすためにできることはあります。

そのためには、ひとりで抱え込まないことが大切です。

獣医師さんに相談する。
家族で話す。
往診など、自宅で受けられるケアについて調べる。
必要なら少し休む。
今の愛犬の様子を記録する。

こうして家族や獣医師さんと話しながら考えておくことが、迷った時の支えになるのだと思います。

老犬介護は、きれいごとだけでは続きません。

大好きだから、大事だから頑張れる。
でも、だからこそ苦しくなる。

その両方があっていいと思います。

 

介護疲れがつらい時はこちらの記事も参考にしてください。

老犬の介護疲れがつらい時に読む記事|少しだけ預けて休む方法
老犬介護に疲れた時、自分を責めすぎなくて大丈夫です。夜鳴きや徘徊、排泄介助で限界を感じる飼い主さんへ、ペットシッター・デイサービス・老犬ホームなど、「少しだけ預ける」休み方も含めてやさしく紹介します。

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まとめ|老犬の緩和ケアは「その子らしく穏やかに過ごす」ための選択

老犬の緩和ケアは、治療をあきらめることではありません。

痛み、吐き気、呼吸の苦しさ、不安、食べられないつらさなどをできるだけ減らし、その子らしく穏やかに過ごすためのケアです。

薬や点滴、往診など、医療の力を借りることもあります。

一方で、好きなものを少し食べること、飲みやすい水分を工夫すること、寝床を整えること、体を清潔にすること、そばで声をかけることも、立派な緩和ケアです。

「どこまで治療するか」
「どこから穏やかに過ごすことを優先するか」

この答えは、犬によっても家族によっても違います。

だからこそ、獣医師さんと相談しながら、今の愛犬にとって何が負担になっていて、何をすると少し楽に過ごせるのかを考えていくことが大切なのだと思います。

愛犬の苦しさをできるだけ減らし、安心できる場所で、大好きな人のそばで、その子らしく過ごすための選択肢です。

 

参考文献・サイト

・藤井動物病院「終末期動物医療科(緩和ケア)」
https://fujii-vet.com/guide/ter/

・一般社団法人 往診獣医師協会「ペットの緩和ケアと終末期ケア」
https://jhvca.main.jp/cerca018/

・ワンペディア「犬の緩和ケア【獣医師解説】」
https://wanpedia.com/palliative-care/

・アニコム損保 みんなのどうぶつ病気大百科「どうぶつのターミナルケア(1)ターミナルケアとは<犬>」
https://www.anicom-sompo.co.jp/doubutsu_pedia/node/1383

・アニコム損保 みんなのどうぶつ病気大百科「どうぶつのターミナルケア(3)自宅で行うケア<食事のサポート><犬>」
https://www.anicom-sompo.co.jp/doubutsu_pedia/node/1387

・アニコム損保 みんなのどうぶつ病気大百科「どうぶつのターミナルケア(4)自宅で行うケア<寝床の工夫と褥瘡の予防><犬>」
https://www.anicom-sompo.co.jp/doubutsu_pedia/node/1389

・アニコム損保 みんなのどうぶつ病気大百科「どうぶつのターミナルケア(7)自宅で行うケア<身体の清潔を保つ><犬>」
https://www.anicom-sompo.co.jp/doubutsu_pedia/node/1395

・往診専門動物病院 わんにゃん保健室「終末期のペットがご飯を食べなくなったら」
https://asakusa12.com/column/2025/01/post-297.html

・ライト動物病院「点滴による犬のターミナルケア|脱水の緩和ケアにできることとは」
https://light.animal-hp.jp/column/2549

・獣医師 江本宏平「通院が負担になるタイミングは、思っているより早く来る」
https://note.com/koheiemoto/n/n1ea9fdab1556

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