「老犬の息が荒い」
「寝ている時も呼吸が早い」
「ヒューヒュー、ゼーゼーと音がする」
こうした様子を見ると、すぐに病院へ行くべきなのか、少し様子を見てもいいのか不安になりますよね。
結論からいうと、老犬の息が荒い時は、まず「呼吸数・呼吸の音・全身状態」を確認してください。
安静にしているのに呼吸が早い、1分間に40回前後を超える、舌や歯茎の色が悪い、ぐったりしている、ご飯を食べないなどがある場合は、自己判断で様子を見ず、動物病院へ相談することが大切です。
この記事では、老犬の呼吸が荒い時の見分け方、家でできる対処法、やってはいけないこと、往診や酸素室・緩和ケアを考えるタイミングまでまとめます。
※獣医師さんや獣医学系大学、動物病院などの情報を参考にしながら、飼い主目線で分かりやすくまとめています。参照元はこちら。
この記事でわかること
・老犬の息が荒い時にまず見るポイント
・正常な呼吸数の目安と測り方
・すぐ病院へ相談したい危険サイン
・寝ている時に呼吸が早い場合の考え方
・家でできる対処法とやってはいけないこと
・往診・酸素室・緩和ケアを考えるタイミング
老犬の息が荒い時は「呼吸数・音・全身状態」を見る
老犬の息が荒い時に最初に見るポイントは、次の3つです。
・安静時の呼吸数
・ヒューヒュー、ゼーゼーなどの呼吸音
・元気、食欲、舌や歯茎の色などの全身状態
暑い時や運動後にハァハァするのは、犬にとって自然な体温調節のこともあります。
ただし、涼しい場所で休んでも落ち着かない、寝ている時も呼吸が早い、口を閉じていても呼吸が荒い、ヒューヒュー音がする場合は注意が必要です。
呼吸の異常は、心臓や肺、気管などの病気が関係していることもあります。
特に老犬は、若い頃より体力や回復力が落ちています。「年だから仕方ない」と決めつけず、いつもと違う呼吸が続く時は早めに獣医師さんへ相談しましょう。

老犬の正常な呼吸数の目安
犬の安静時の呼吸数は、一般的に1分間に15〜30回程度が目安とされています。
ただし、犬の大きさ、体調、持病、暑さ、緊張などによって差があります。
老犬の場合は「一般的な数字」だけで判断するよりも、普段の安静時呼吸数を知っておくことが大切です。
たとえば、いつもは1分間に18回くらいなのに、今日は安静にしていても40回近い。こうした変化は、数字以上に大事なサインになります。
呼吸数の測り方
呼吸数は、愛犬が寝ている時やリラックスしている時に測ります。
胸やお腹が「ふくらんで、へこむ」動きを1回として数えます。
・1分間そのまま数える
・30秒数えて2倍する
・15秒数えて4倍する
このどれかで大丈夫です。
呼吸が荒い時に慌てないためにも、元気な時の呼吸数をメモしておくと安心です。
スマホのメモでもいいですし、動画を撮っておくのもおすすめです。
すぐ病院へ相談したい危険サイン
次のような症状がある場合は、早めに動物病院へ相談してください。
・安静にしていても呼吸が荒い
・呼吸数が1分間に40回前後を超えている
・呼吸のたびにお腹や胸が大きく動く
・ヒューヒュー、ゼーゼー、ガーガーと音がする
・舌や歯茎が青紫、白っぽい
・ぐったりしている
・ご飯を食べない
・横になれず、座ったまま呼吸している
・咳が続く
・意識がぼんやりしている
・水を異常によく飲む、または飲めない
舌や歯茎が青紫色になる状態は、酸素が足りていないサインの可能性があります。
この場合は緊急性が高いことがあるため、夜間でも救急対応の動物病院へ連絡した方が安心です。

老犬の息が荒くなる原因
老犬の息が荒くなる原因は、ひとつではありません。
暑さやストレスのように一時的なものもあれば、心臓病や肺の病気など、早めの治療が必要なものもあります。
暑さ・運動・興奮によるパンティング
犬は人のように全身で汗をかいて体温を下げることが苦手です。
そのため、暑い時や運動後は、口を開けてハァハァと呼吸しながら体温を調整します。
これをパンティングといいます。
涼しい場所で休ませて、数分〜十数分ほどで落ち着くなら、生理的な反応のこともあります。
ただし、老犬は体温調節が苦手になりやすいです。
室温が高い、湿度が高い、日差しが当たる、服を着せすぎているなどでも呼吸が荒くなることがあります。
熱中症が心配な場合は、こちらも参考にしてください。

痛みや不安、ストレス
痛みや不安でも、呼吸は早くなることがあります。
関節が痛い、歯が痛い、お腹が痛い、どこかをぶつけたなど、体の不調が原因になることもあります。
また、老犬になると目や耳が弱くなり、環境の変化に不安を感じやすくなります。
雷、花火、来客、模様替え、留守番などがきっかけで、ハァハァしたり、震えたり、落ち着かなくなる子もいます。
震えも一緒にある場合はこちらで詳しくまとめています。

心臓病・肺水腫
老犬で特に注意したいのが、心臓病です。
中高齢の小型犬では、僧帽弁閉鎖不全症という心臓病が見られることがあります。
心臓の働きが悪くなると、体に十分な酸素を送れなくなり、呼吸が早くなったり、咳が出たり、疲れやすくなったりします。
さらに進行すると、肺に水がたまる肺水腫につながることもあります。
肺水腫は呼吸が苦しくなるため、横になれない、座ったまま首を伸ばして呼吸する、咳が強い、ぐったりするといった様子が出ることがあります。
この場合は、様子見ではなく早急な受診が必要です。
気管虚脱・気管支炎・肺炎
ヒューヒュー、ゼーゼー、ガーガーという音がある場合は、気管や肺のトラブルも考えられます。
気管虚脱は、気管がつぶれて空気の通り道が狭くなる病気です。
小型犬や高齢犬に多く、ガーガーというガチョウの鳴き声のような咳が出ることがあります。
気管虚脱についてはこちらでも詳しくまとめています。

気管虚脱とサプリについて知りたい方はこちらも参考にしてください。

ただし、サプリは呼吸困難を治すものではありません。
呼吸が苦しそうな時は、まず獣医師さんの診察が優先です。
寝ている時に呼吸が早い場合
寝ている時に一時的に呼吸が早くなるだけなら、夢を見ている、寝姿勢の影響、室温が高いなどの可能性もあります。
ただし、寝ている時や安静時こそ、本来は呼吸が落ち着きやすいタイミングです。
その状態で呼吸が早い、何度測っても多い、苦しそうに見える場合は注意が必要です。
特に、
・寝ているのに1分間に40回前後ある
・お腹を大きく使って呼吸している
・咳で起きる
・横になると苦しそう
・夜中に落ち着かず眠れない
このような場合は、心臓や肺の病気が隠れていることもあります。
寝ている時の動画を撮って、動物病院で見てもらうと状況が伝わりやすいです。

ご飯を食べない・ぐったりしている時は要注意
息が荒いだけでなく、ご飯を食べない、ぐったりしている場合は、早めに病院へ相談してください。
老犬は体調が悪くても、言葉で伝えられません。
呼吸が荒い、ご飯を食べない、動かない、目に力がない、反応が鈍い。
こうした変化が重なる時は、体の中でかなり負担がかかっている可能性があります。
特に無理に食べさせるのは避けてください。
呼吸が苦しい時に食べ物や水を無理に口へ入れると、誤嚥のリスクがあります。
食べない時の考え方はこちらでもまとめています。

老犬の息が荒いのは寿命や最期のサイン?
老犬の息が荒いと、「寿命が近いのかな」「最期のサインなのかな」と不安になると思います。
呼吸の変化が、終末期に見られることはあります。
浅く速い呼吸、不規則な呼吸、口を開けた呼吸、下顎だけを動かすような呼吸などが見られることもあります。
ただし、息が荒い=すぐ最期、とは限りません。
心臓病、肺炎、熱中症、痛み、不安など、治療やケアで楽にできる原因もあります。
だからこそ、「もう歳だから」と決めつけないことが大切です。
一方で、持病が進んでいて通院自体が大きな負担になっている場合は、治療だけでなく、苦しさを和らげる緩和ケアを考える時期かもしれません。
老犬の緩和ケアについてはこちらにまとめています。


家でできる一時的な対処法
老犬の息が荒い時は、病院へ行くまでの間にできるだけ負担を減らしてあげましょう。
ただし、呼吸が苦しそうな時は自宅ケアだけで解決しようとせず、必ず動物病院へ連絡してください。
涼しく静かな場所で休ませる
まずは、涼しく静かな場所へ移動させます。
エアコンを使い、室温と湿度を調整しましょう。
暑さが原因の可能性がある場合は、直射日光を避け、風通しのよい場所で休ませます。
興奮や不安で呼吸が荒くなっている場合も、周囲の刺激を減らすことが大切です。
大きな声を出したり、何度も抱き上げたりせず、静かに声をかけてあげてください。
呼吸しやすい姿勢にする
呼吸が苦しそうな時は、胸やお腹を圧迫しない姿勢にします。
基本的には、うつ伏せに近い姿勢が楽なことがあります。
あごの下や胸の下にタオルを入れて、首が少し伸びるようにすると呼吸しやすい場合もあります。
ただし、無理に姿勢を変える必要はありません。
愛犬が自分で楽な姿勢を取っているなら、その姿勢を優先して見守りましょう。
水は飲める範囲で少しずつ
暑さや脱水が心配な時は、水を飲める環境を整えます。
ただし、呼吸が苦しそうな時に無理に飲ませるのは危険です。
むせる、飲み込めない、ぐったりしている場合は、無理に口へ水を入れないでください。
飲めるなら少量ずつ。
飲めないなら、病院へ相談した方が安心です。
動画とメモを残す
病院で説明するために、呼吸の様子を動画で撮っておくと役立ちます。
メモしておきたいのは、次のような内容です。
・いつから息が荒いか
・呼吸数は何回くらいか
・咳やヒューヒュー音があるか
・食欲や元気はあるか
・水をよく飲むか
・飲んでいる薬はあるか
・暑さ、運動、ストレスなど思い当たるきっかけ
呼吸の異常は、病院に着いた時には少し落ち着いていることもあります。
動画があると、獣医師さんに状況を伝えやすくなります。
やってはいけないこと
老犬の息が荒い時に、よかれと思ってやったことが負担になる場合もあります。
次のことは避けましょう。
・無理に歩かせる
・焦って何度も抱き上げる
・胸やお腹を圧迫する
・自己判断で人間用の薬を飲ませる
・処方薬を勝手に増やす、やめる
・無理に食べさせる、飲ませる
・暑い車内や部屋で様子を見る
・「年だから」と長時間放置する
特に呼吸が苦しい時は、少しの興奮や移動でも悪化することがあります。
移動が必要な場合も、できるだけ涼しく、静かに、胸を圧迫しないようにしましょう。

往診・酸素室・緩和ケアを考えるタイミング
老犬になると、病院へ連れて行くこと自体が大きな負担になることがあります。
車移動で興奮する。 待合室で疲れる。 診察後にぐったりする。
こうした状態が増えてきたら、往診を相談するのもひとつの方法です。
犬の往診についてはこちらでまとめています。

また、心臓病や呼吸器の持病があり、呼吸が苦しくなりやすい子では、獣医師さんの判断で酸素室を使うことがあります。
自宅用の酸素室をレンタルできるケースもありますが、自己判断で用意する前に、必ずかかりつけの先生へ相談してください。
酸素室についてはこちらにまとめています。

治すことが難しい段階でも、「苦しさを減らす」「穏やかに過ごす」ためにできることはあります。
これはあきらめではありません。
愛犬ができるだけ楽に過ごせるように考える、大切なケアのひとつです。
まとめ|老犬の息が荒い時は、早めの相談が安心
老犬の息が荒い時は、まず呼吸数・呼吸音・全身状態を見てください。
暑さや運動後のパンティングであれば、涼しい場所で休むことで落ち着くこともあります。
一方で、安静にしても呼吸が荒い、寝ている時も呼吸が早い、ヒューヒュー音がする、ご飯を食べない、ぐったりしている、舌や歯茎の色が悪い場合は注意が必要です。
呼吸の異常は、心臓病、肺水腫、肺炎、気管虚脱、熱中症など、命に関わる病気が隠れていることもあります。
「年だから仕方ない」と決めつけず、迷ったら早めに動物病院へ相談しましょう。
そして、通院が負担になってきた老犬では、往診や酸素室、緩和ケアという選択肢もあります。
大切なのは、愛犬を苦しませないこと。
そのために、飼い主さんがひとりで判断を抱え込まず、獣医師さんと一緒に今できるケアを考えていくことだと思います。

参考文献・サイト
・桑原動物病院の老犬ホーム・シニアケアサービス 愛犬の息が荒いのはなぜ?原因と対処法を獣医師が解説
https://kuwabara-awc.com/blog/2022/12/31/%e6%84%9b%e7%8a%ac%e3%81%ae%e6%81%af%e3%81%8c%e8%8d%92%e3%81%84%e3%81%ae%e3%81%af%e3%81%aa%e3%81%9c%ef%bc%9f%e5%8e%9f%e5%9b%a0%e3%81%a8%e5%af%be%e5%87%a6%e6%b3%95%e3%82%92%e7%8d%a3%e5%8c%bb%e5%b8%ab/
・ふぁみまる 【獣医師監修】老犬の息が荒い!呼吸が早い!まずとるべき対処法と原因について
https://pet-tabi.jp/weblog/rouken-ikigaarai/
・PS保険 犬の息が荒い、呼吸が速い原因とは?病院に連れて行くべき症状を獣医師が解説
https://pshoken.co.jp/note_dog/dog_symptom/case025.html
・HALU代官山動物病院 犬の呼吸が早い時に考えられる病気とは|心臓病や肺水腫に要注意!
https://www.halu.vet/column18/
・国分寺ハートアニマルクリニック 犬の呼吸が荒い…それって病気のサイン?
https://kokubunjiheartanimal.com/blog/%E7%8A%AC%E3%81%AE%E5%91%BC%E5%90%B8%E3%81%8C%E8%8D%92%E3%81%84%E3%81%9D%E3%82%8C%E3%81%A3%E3%81%A6%E7%97%85%E6%B0%97%E3%81%AE%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%83%B3%EF%BC%9F/
・犬と猫の病院Ken doc. シニア犬に多い病気について|咳などの症状がみられたら
https://kendoc.jp/blog/148/
・Cornell University College of Veterinary Medicine Recognizing and responding to canine respiratory distress
https://www.vet.cornell.edu/departments-centers-and-institutes/riney-canine-health-center/canine-health-topics/recognizing-and-responding-canine-respiratory-distress


