「老犬にマッサージをしてもいいの?」
「後ろ足が弱ってきたけど、家でできることはある?」
「寝たきりの老犬にもマッサージして大丈夫?」
このように悩んでいる飼い主さんは多いと思います。
結論から言うと、老犬のマッサージは、治療の代わりではありませんが、血行を促したり、筋肉のこわばりをやわらげたり、体の変化に気づきやすくするためのケアとして取り入れやすい方法です。
ただし、痛みがある子、関節やヘルニアなどの持病がある子、触ると嫌がる子は、自己判断で強く揉まず、獣医師さんに相談しながら行うことが大切です。
この記事では、老犬マッサージの効果、後ろ足・肉球・耳まわりのやり方、やってはいけないケースまで、19歳の老犬介護の実体験も交えながらまとめます。
※動物病院、獣医師さん監修サイト、ペット関連企業のwebサイトなどを参考にしながら、飼い主目線で分かりやすくまとめています。参照元はこちら。
この記事でわかること
・老犬にマッサージをしてもいいのか
・老犬マッサージに期待できること
・後ろ足マッサージのやり方
・犬の肉球マッサージのやり方
・寝たきりの老犬にできる優しいケア
・マッサージを避けた方がいいケース
・我が家の19歳老犬に行っているマッサージ
老犬のマッサージは「治すため」ではなく「楽に過ごすため」のケア
老犬のマッサージは、病気や関節トラブルを治すものではありません。
ただ、年齢を重ねると、どうしても筋力が落ちたり、関節が動かしにくくなったり、寝ている時間が長くなったりします。
その結果、
・足先が冷たい
・後ろ足がこわばる
・立ち上がりにくい
・歩幅が狭くなる
・体を触ると硬く感じる
・寝たきりで同じ姿勢が増える
といった変化が見られることがあります。
マッサージは、こうした老犬の体をやさしく触りながら、血流や筋肉のこわばりをケアし、少しでも心地よく過ごしてもらうための方法です。
「歩けるようにする」というより、「今日の体を少し楽にしてあげる」くらいの気持ちで取り入れるのが、老犬には合っていると思います。

老犬マッサージに期待できる効果
老犬マッサージで期待できることは、大きく分けると次の4つです。
・血行を促し、冷えやこわばりのケアにつながる
・筋肉や関節まわりをやさしくほぐせる
・リラックスやスキンシップの時間になる
・しこり、できもの、皮膚トラブルなどに気づきやすくなる
特に老犬は、若い頃よりも寝ている時間が長くなり、体を動かす機会が減りがちです。
動く時間が減ると、筋肉や関節が硬くなりやすく、足先も冷えやすくなります。マッサージや蒸しタオルなどでやさしく温めながら触れることで、体の巡りをサポートしやすくなります。
また、マッサージをしていると、普段は気づきにくい体の変化にも気づきやすくなります。
我が家でも、足や耳を触っていると、「今日は足先が冷たいな」「ここに小さなできものがあるな」「皮膚が少し赤いな」と気づくことがあります。
老犬になると、小さな変化が体調のサインになることもあるので、マッサージは健康チェックの時間としても役立ちます。
老犬マッサージを始める前の準備
マッサージを始める前に大切なのは、犬を無理に押さえつけないことです。
マッサージは、愛犬が安心して受けられる状態で行うのが基本です。
準備としては、次のようなことを意識します。
・静かで落ち着ける場所で行う
・飼い主の手を温めておく
・爪や指輪で皮膚を傷つけないようにする
・いきなり触らず「触るよ」と声をかける
・短時間から始める
・嫌がったらすぐやめる
冷たい手で急に触られると、犬もびっくりします。
手をこすって温めたり、蒸しタオルで少し手を温めたりしてから触ると、受け入れてくれやすいです。
また、老犬の場合は体調が日によって変わります。昨日は気持ちよさそうだった場所でも、今日は嫌がることがあります。
「昨日できたから今日もできる」と考えず、その日の反応を見ながら行うようにしましょう。

老犬マッサージの力加減は「弱すぎるかな」くらいでいい
老犬のマッサージで一番注意したいのは、力を入れすぎないことです。
人間の肩こりのように、グイグイ揉む必要はありません。
目安は、
・手のひらでやさしくなでる
・皮膚を少し動かす
・指の腹で小さく円を描く
・犬が気持ちよさそうにしている強さにする
くらいです。
「これで効果あるのかな?」と思うくらいの弱い力で十分です。
特に老犬は、筋肉が落ちていたり、関節が痛かったり、皮膚が薄くなっていたりすることがあります。強く押すと、かえって負担になる可能性があります。
老犬マッサージは、揉みほぐすというより、温かい手で包んで、やさしく動かしてあげるイメージです。
老犬の後ろ足マッサージのやり方
老犬のマッサージで気になる方が多いのが、後ろ足のケアだと思います。
後ろ足が弱ってくると、
・立ち上がりにくい
・足がピーンと伸びる
・踏ん張れない
・足先が冷たい
・ナックリングのように足先をうまく返せない
といった変化が見られることがあります。
後ろ足に力が入らない原因や対処法については、こちらでも詳しくまとめています。

後ろ足マッサージは、次のようにやさしく行います。
1. まず足全体を温める
いきなり揉むのではなく、まずは後ろ足全体を手で包むようにして温めます。
足先が冷たい場合は、蒸しタオルを使うのも選択肢です。
ただし、熱すぎるタオルは皮膚に負担がかかります。人が触って気持ちいいくらいの温度にして、長時間当てっぱなしにしないようにします。
2. 太ももから足先へやさしくなでる
太もも、膝まわり、足首、足先へ向かって、毛並みに沿ってゆっくりなでます。
このとき、関節を無理に曲げたり伸ばしたりしないようにします。
特に関節炎やヘルニア、膝・股関節のトラブルがある子は、自己判断で可動域を広げようとしない方が安心です。
3. 足の付け根を軽くゆらす
後ろ足の付け根や太ももの筋肉を、手のひらで包むようにして、軽くゆらします。
ギュッと揉むのではなく、皮膚や筋肉を少し動かす程度です。
犬が力を抜いているようなら、そのまま数秒続けます。嫌がる、足を引く、鳴く、体をこわばらせる場合はすぐにやめましょう。
4. 足先を軽く触る
足先は感覚が鈍くなったり、冷えやすかったりする場所です。
肉球や指の間をやさしく触り、固まっている感じがないか、冷たくないか、赤みや傷がないかを確認します。
ナックリングがある子は、足先の状態を日々見ておくことも大切です。
ナックリングについてはこちらの記事でもまとめています。

犬の肉球マッサージのやり方
肉球マッサージは、老犬にも取り入れやすいケアです。
犬は肉球を使って地面を感じたり、踏ん張ったりしています。年齢とともに歩く時間が減ると、足先の感覚や動きも鈍くなりやすいです。
やり方はとても簡単です。
・肉球を親指と人差し指でやさしく持つ
・大きな肉球を軽く押す
・指の付け根から先に向かって、一本ずつそっと触る
・指の間を軽く開くように触る
・最後に足先全体を包む
力はほとんどいりません。
肉球をギュッと押すのではなく、「触って確認する」くらいで大丈夫です。
肉球の間には汚れがたまったり、赤みが出たり、爪が伸びすぎていたりすることもあります。マッサージしながら、足裏の健康チェックも一緒にしておくと安心です。

耳まわりのマッサージも老犬にはおすすめ
老犬は足だけでなく、耳先が冷たくなることもあります。
我が家の19歳の老犬も、耳先が冷たく、血行不良なのか耳の毛が薄くなってきている時期がありました。
耳まわりは脳に近く、犬によっては触られると気持ちよさそうにする子も多い場所です。
やり方は、
・耳の付け根を手のひらで包む
・耳の根元を指の腹でやさしく揉む
・耳の付け根から耳先へ向かって、そっとなでる
・嫌がらなければ耳全体を軽く広げるように触る
という感じです。
ただし、外耳炎や耳の赤み、強いにおい、痛みがある場合は、マッサージではなく動物病院で診てもらうことを優先してください。
寝たきりの老犬にマッサージする時の注意点
寝たきりの老犬にも、やさしいマッサージはスキンシップや体の確認として取り入れられる場合があります。
ただし、寝たきりの子は体力が落ちていたり、床ずれがあったり、呼吸や心臓に不安があったりすることもあります。
そのため、強く動かすマッサージではなく、
・手を当てて温める
・足先を軽く包む
・背中や肩まわりをやさしくなでる
・床ずれができやすい場所を確認する
・体勢を変える時に痛がらないか見る
くらいのケアが現実的です。
寝たきりの老犬は、マッサージよりも「同じ姿勢が続きすぎていないか」「床ずれができていないか」「呼吸が苦しそうではないか」などの確認も大切になります。
寝たきり介護についてはこちらでまとめています。

マッサージをしない方がいいケース
老犬マッサージはやさしいケアですが、どんな時でもしてよいわけではありません。
次のような場合は、無理にマッサージせず、動物病院に相談してください。
・触ると痛がる
・鳴く、怒る、逃げる
・発熱、嘔吐、下痢など体調不良がある
・炎症や腫れがある
・しこりや腫瘍がある場所
・皮膚が赤い、ただれている
・骨折や脱臼の疑いがある
・ヘルニア、関節疾患などで指示を受けている
・食後すぐ
・呼吸が荒い、ぐったりしている
特に、痛みがある場所を揉むのは避けた方が安心です。
「マッサージで治そう」と考えると、どうしても強く触りたくなってしまいますが、老犬の場合は逆効果になることもあります。
気になる症状がある時は、まず獣医師さんに相談し、「この子の場合、どの範囲なら触っていいか」を確認しておくと安心です。
老犬の足のむくみが気になる場合は、見分け方と受診目安も確認しておくと安心です


我が家の19歳老犬にしているマッサージ
うちには19歳の老犬がいます。
18歳ごろまでは、認知症はあるものの比較的元気に歩いていました。けれど19歳になってから、後ろ足の弱りが目立つようになりました。
よく見ていると、後ろ足がピーンと張ってしまい、曲げるのが難しそうでした。
転倒することも増え、前足の弱りも出てきたため、今は車椅子も使っています。
車椅子に乗ると自分で動けるのがうれしいようで、ちょこちょこ歩いています。ただ、後ろ足がうまく曲げられず、鳴いて呼ばれることも多くなりました。
触ってみると、後ろ足の先が冷たいことがありました。おそらく血流が悪くなっていたのだと思います。
そこで、毎晩、夜中に起こされた時や寝かしつける時に、後ろ足を弱く、やさしく揉んだり、さすったりするようにしました。
強く揉むのではなく、足先から太ももにかけて、温めるようにゆっくり触る感じです。
3〜4日ほど続けたところ、足先が温かく感じる日が増え、曲げ伸ばしもしやすそうに見えるようになりました。
もちろん、これは我が家の体験であって、すべての老犬に同じ変化が出るわけではありません。
ただ、マッサージをすることで、足の冷たさ、こわばり、皮膚の状態、できもの、虫がついていないかなどに気づきやすくなったのは大きいです。
老犬介護では、何かを大きく改善することよりも、「今日の状態に気づいてあげること」が大事なのだと感じています。
老犬マッサージは動画だけで判断しすぎない方がいい
「老犬 後ろ足マッサージ動画」などで検索すると、いろいろなやり方が出てきます。
動画は手の動きが分かりやすいので参考になりますが、注意点もあります。
それは、動画の犬と自分の犬では、年齢、病気、関節の状態、痛みの有無が違うということです。
動画では簡単そうに見える動きでも、自分の犬には負担になる場合があります。
特に、
・足を大きく曲げ伸ばしする
・関節を回す
・強く押す
・立たせてトレーニングする
といった内容は、状態によっては合わないこともあります。
動画を見る場合も、「同じようにやる」より、「力加減や声かけ、優しく触る雰囲気を参考にする」くらいが安心です。

老犬の後ろ足リハビリとマッサージは別物として考える
老犬の後ろ足ケアでは、マッサージだけでなくリハビリが気になる方も多いと思います。
ただ、マッサージとリハビリは同じではありません。
マッサージは、主に筋肉のこわばりや血行、リラックスを目的としたケアです。
一方で、リハビリは、立つ、歩く、関節を動かす、筋力を維持するなど、より体の機能に関わる取り組みになります。
リハビリは、その子の体の状態に合わせて行う必要があります。
後ろ足が弱っている原因が、加齢による筋力低下なのか、関節の問題なのか、神経の問題なのかによって、向いているケアは変わります。
「後ろ足が弱ってきたから、とにかく動かさなきゃ」と考えるのではなく、痛みや病気がないかを確認しながら、獣医師さんやリハビリに詳しい病院に相談するのが安心です。
老犬が気持ちいいと感じやすいポイント
犬によって好みは違いますが、老犬が比較的受け入れやすい場所は次のようなところです。
・背中
・肩まわり
・腰まわり
・太もも
・足先
・肉球
・耳の付け根
・胸まわり
反対に、嫌がる子が多い場所もあります。
・お腹
・口まわり
・足先
・しっぽ
・痛みがある場所
足先や肉球は、好きな子と嫌いな子が分かれやすいです。
うちの犬も、足先は日によって嫌がることがあります。そういう日は無理に触らず、太ももや背中だけにしています。
「ここが気持ちいいはず」と決めるより、愛犬の反応を見ながら探していくのが一番です。
気持ちよさそうなサインとしては、
・目を細める
・体の力が抜ける
・呼吸がゆっくりになる
・そのまま寝る
・触るのをやめるとこちらを見る
などがあります。
逆に、
・足を引く
・顔をそむける
・立ち去ろうとする
・唸る
・体をこわばらせる
・呼吸が荒くなる
といった様子があれば、そこでやめましょう。

まとめ|老犬マッサージは「やさしく触って気づく」ためのケア
老犬のマッサージは、病気を治すものではありません。
でも、足先の冷えや体のこわばりをやさしくケアしたり、愛犬とのスキンシップの時間を作ったり、体の小さな変化に気づいたりするきっかけになります。
特に後ろ足が弱ってきた老犬には、
・足全体を温める
・太ももから足先へやさしくなでる
・肉球や指の間を軽く触る
・嫌がったらすぐやめる
・痛みがある場合は獣医師さんに相談する
このあたりを意識すると、無理なく取り入れやすいです。
老犬介護では、「何かをしてあげたい」と思う場面がたくさんあります。
でも、頑張って強いケアをするより、毎日少しだけ、温かい手で触れてあげることの方が、その子にとって心地いい場合もあります。
マッサージは、飼い主さんが愛犬の体と向き合う時間です。
今日の足は冷たいかな。 今日はこわばっているかな。 ここを触ると気持ちよさそうかな。
そんなふうに、無理なく続けられる形で取り入れてみてください。
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参考文献・サイト
・ユニ・チャーム「寝たきり予防!高齢犬との遊び方やマッサージ」
https://jp.unicharmpet.com/ja/web-magazine/dog-000013.html
・金乃時アニマルクリニック「高齢犬・高齢猫の介護(リハビリ・マッサージ/ペット往診」
https://www.kinnotokianimalclinic.com/blog/315
・アリアスペットクリニック「シニア犬のリハビリ〜前編〜」
https://www.arias-petclinic.com/post/%E3%82%B7%E3%83%8B%E3%82%A2%E7%8A%AC%E3%81%AE%E3%83%AA%E3%83%8F%E3%83%93%E3%83%AA%E3%80%9C%E5%89%8D%E7%B7%A8%E3%80%9C
・キュティア老犬クリニック「犬の整体・マッサージ」
https://cutia.jp/massage.html
・ぬのかわ犬猫病院「老犬のリハビリテーションⅡ(マッサージ・ストレッチ療法)」
https://www.nk-inuneko.com/case/r00016/
・泉南動物病院「シニア犬向け『マッサージ・リハビリテーションサービス』を開始しました♪」
https://www.sennan-ah.com/sennannews/sennannews-18411/
・nishikawa「【獣医師監修】犬と猫のマッサージ方法を解説。ホットタオルでより効果的に!」
https://www.nishikawa1566.com/contents/towel-to/blog/4172/


