老犬の歯周病が心配だけど、「高齢だから治療できないのでは」「麻酔が怖い」「家で治す方法はないのかな」とお悩みの飼い主さんも多いのではないでしょうか。
結論からいうと、老犬の歯周病は年齢だけで治療できないと決まるわけではありません。全身状態を検査したうえで、歯石除去や抜歯などの治療ができる子もいます。
ただし、持病や体力の問題で麻酔を使った治療が難しい場合もあります。その場合でも、抗生物質や消炎剤、痛み止め、自宅でのデンタルケア、食事の工夫などで、痛みや不快感を減らしてあげられる可能性があります。
この記事では、老犬の歯周病で治療できないと言われる理由や、家でできること、動物病院で相談したいことをまとめます。
※獣医師さん監修の動物病院・ペット関連企業のWebサイトなどを参考にしながら、分かりやすくまとめています。参照元はこちら。
この記事でわかること
・老犬の歯周病は本当に治療できないのか
・歯周病を放置するとどうなるのか
・くしゃみ、食べない、口臭と歯周病の関係
・抗生物質や薬でできること
・家で歯周病を治せるのか
・老犬に無理なくできる自宅ケア
・歯周病治療や手術費用の目安
老犬の歯周病は治療できない?まずは「年齢だけ」で諦めない
老犬の歯周病は、「高齢だから絶対に治療できない」と決まるわけではありません。
歯周病の治療では、歯石除去や歯周ポケットの洗浄、抜歯などを行うことがあります。犬の場合、口を開けたままじっとしていることが難しいため、安全面や痛みへの配慮から、全身麻酔下で行われることが多いです。
そのため、老犬では麻酔のリスクが問題になります。
高齢になると、心臓、腎臓、肝臓などの機能が落ちていたり、持病があったりすることがあります。麻酔前の血液検査や画像検査などでリスクが高いと判断されれば、積極的な処置が難しいこともあります。
ただ、年齢だけで判断するのではなく、「その子の今の体の状態」で考えることが大切です。
16歳、17歳のような高齢犬でも、検査の結果や症状の強さによっては、段階的に治療を進めるケースもあります。逆に、若くても持病があれば慎重な判断が必要です。
「もう老犬だから無理」と決めつける前に、まずは動物病院で相談してみてください。麻酔をするリスクと、歯周病を放置するリスクの両方を聞いたうえで考えると、後悔の少ない選択につながります。

老犬の歯周病を放置するとどうなる?
老犬の歯周病を放置すると、口臭や歯ぐきの腫れだけでなく、口の中の炎症がさらに深い部分へ進んでしまうことがあります。
歯を支えている骨が溶けると、歯がぐらついたり抜けたりするだけでなく、顎の骨が弱くなり、骨折につながることもあります。
また、歯の根元に膿がたまると、頬や目の下に穴が開く「外歯ろう」や、口と鼻がつながる「口腔鼻腔ろう」を起こすことがあります。口腔鼻腔ろうになると、くしゃみや鼻水、鼻血など、鼻の症状として現れることもあります。
さらに、歯周病の細菌や炎症は口の中だけにとどまらず、血流を通じて全身に影響する可能性も指摘されています。心臓、腎臓、肝臓、糖尿病、肺炎などとの関係に触れている動物病院の解説もあります。(参考サイトはこちら)
つまり、老犬の歯周病は「口が臭いだけ」「歯が汚れているだけ」とは考えない方がよい病気です。食べにくそう、口臭が強い、くしゃみや鼻水が続くなどの変化がある場合は、早めに獣医師さんへ相談しましょう。
老犬の歯周病で見られやすい症状
老犬の歯周病では、次のような症状が見られることがあります。
・口臭が強い
・歯ぐきが赤い、腫れている
・歯ぐきから血が出る
・歯石が多い
・歯がぐらぐらしている
・よだれが増えた
・口を触られるのを嫌がる
・硬いものを食べない
・食べこぼしが増えた
・食欲が落ちた
・顔まわりを気にする
・くしゃみや鼻水が続く
・膿のような鼻水が出る
老犬は痛みを我慢してしまうことも多く、飼い主が気づいたときには進行していることもあります。
「食欲はあるのに食べられない」「食べたいのに途中でやめる」「片側だけで噛んでいる感じがする」という場合も、口の中の痛みが隠れているかもしれません。
我が家でも、歯磨きはずっと課題です。子犬の頃からもっと慣れさせておけばよかったと、今でも後悔しています。
普段から歯磨きシートを使っていますが、歯磨きシートで外側はなんとか拭けても、うちの子の場合は内側まではなかなか磨かせてくれません。老犬になると噛む力が落ちたりもするのでデンタルガムも難しそうで、若い頃と同じケアは難しいと実感しています。
だからこそ、無理に全部やろうとするより、「今できる範囲で続ける」ことが大切だと思います。

老犬の歯周病の治療方法と費用の目安
犬の歯周病治療では、状態に応じて次のような処置が行われます。
・スケーリング
・歯周ポケットの洗浄
・ルートプレーニング
・キュレッタージ
・ポリッシング
・抜歯
・歯肉縫合
歯石は、一度ついてしまうと家庭の歯磨きだけでは取り除けません。歯の表面だけでなく、歯周ポケットや歯の根元の状態を確認する必要があるため、動物病院での専門的な処置が必要になります。
重度の歯周病では、ぐらついた歯や痛みの原因になっている歯を抜歯することもあります。抜歯と聞くとかわいそうに感じますが、炎症や痛みの原因を取り除くことで、食欲や口臭が改善するケースも紹介されています。
費用は、病院や地域、犬の体重、検査内容、抜歯本数、歯周病の進行度によって大きく変わります。
目安としては、軽度の歯石除去やクリーニングで3万〜4万円前後、中度で5万〜8万円前後、重度で抜歯本数が多い場合は9万〜10万円以上になることもあります。
犬の歯周病治療費や手術費用は幅があるため、事前に見積もりを出してもらうと安心です。ペット保険に入っている場合は、歯周病治療が補償対象になるかどうかも確認しておきましょう。
麻酔や手術ができない老犬には何ができる?
老犬で麻酔や手術が難しい場合でも、「何もできない」とは限りません。
動物病院では、状態に応じて抗生物質、消炎剤、鎮痛剤などが処方されることがあります。これらは、細菌の増殖や炎症、痛みを一時的に抑えるために使われます。
ただし、抗生物質や薬だけで歯周病を完治させることは難しいです。
歯石やぐらついた歯、深い歯周ポケットの汚れが残っている場合、薬で一時的に症状が落ち着いても、原因そのものがなくなるわけではありません。
そのため、薬は「根本治療」ではなく、「症状をコントロールして生活の質を守る方法」と考えると分かりやすいです。
ここで注意したいのは、自己判断で人間用の薬を使ったり、通販で抗生物質を買って飲ませたりしないことです。薬には副作用もありますし、量や期間を間違えると危険です。
老犬の歯周病で薬を使う場合は、必ず獣医師さんに診てもらったうえで処方してもらいましょう。

犬の歯周病は家で治すことができる?
「犬の歯周病を家で治す方法はないのかな」と調べる方も多いと思います。
結論として、家で歯周病を根本的に治すことは難しいです。
特に、すでに歯石がついている場合や、歯がぐらついている、膿が出ている、痛みがあるような重度の歯周病では、家庭ケアだけで治すことはできません。
歯石は歯磨きでは落とせませんし、歯周ポケットの奥や歯の根元の処置は、動物病院での専門的な治療が必要です。
ただし、自宅ケアに意味がないわけではありません。
自宅ケアの目的は、「歯周病を家で治す」ことではなく、歯垢を減らして悪化を防ぐこと、治療後の再発を防ぐこと、口の中を少しでも清潔に保つことです。
麻酔下の治療が難しい老犬にとっても、無理のない口腔ケアは大切です。
老犬に無理なくできる自宅デンタルケア
老犬のデンタルケアは、若い犬と同じように完璧を目指さなくても大丈夫です。
痛みがある子に無理やり歯磨きをすると、かえって口を触らせてくれなくなることもあります。嫌がり方が強い場合や、出血・ぐらつき・膿がある場合は、まず受診を優先してください。
家でできるケアとしては、次のようなものがあります。
歯磨きシート
歯ブラシが苦手な老犬でも始めやすいケアです。指に巻いて拭けるので、力加減がしやすいのがメリットです。
我が家も基本は歯磨きシートです。ただ、うちの子の場合、外側はなんとか磨けますが、内側まではなかなか難しいです。それでも、何もしないよりはいいと思って、できる範囲で続けています。
歯磨きジェル・ペースト
噛む力が弱くなった老犬や、ドライフードを食べなくなった子にも検討しやすいケアです。
最近は、ペースト状のデンタルケア用品もいろいろあります。歯ブラシが難しい子でも、舐めるところから始められるものなら取り入れやすいかもしれません。
ガーゼ・指サック
歯ブラシよりも抵抗が少ない子もいます。歯ぐきを強くこすらず、やさしく短時間で終えるのがポイントです。
デンタルガム・おもちゃ
噛める子には補助になります。ただ、老犬で歯がぐらついていたり、噛む力が弱くなっていたりする場合は注意が必要です。
我が家でも成犬期はデンタルガムも使っていましたが、今は老化でドライフードも食べにくくなっていて、噛む力も弱くなっているので難しそうだと感じています。
液体歯みがき・サプリメント
飲み水に混ぜるタイプや、食事に混ぜるタイプもあります。ただし、歯磨きの完全な代わりではなく、あくまで補助として考えるのがよさそうです。
老犬のケアで大切なのは、「毎回完璧に磨くこと」よりも、「嫌がらない範囲で続けること」です。
1日1本だけ、外側だけ、口まわりを触るだけでも、何もしないより前進です。

食べない・食べにくいときの食事の工夫
老犬が歯周病で食べない、食べにくそうにする場合は、口の中の痛みが関係していることがあります。
特に、硬いドライフードを避ける、食べこぼしが増える、食べたいのに途中でやめる、片側だけで噛むような様子がある場合は注意したいです。
食事の工夫としては、次のような方法があります。
・ドライフードをぬるま湯でふやかす
・ウェットフードを使う
・香りを立てて食欲を刺激する
・一口で食べやすい大きさにする
・硬いおやつやガムは無理に与えない
ただし、急に食べなくなった、体重が落ちている、元気がない、痛がって鳴くなどの症状がある場合は、食事の工夫だけで様子を見るのは心配です。
食べない原因は歯周病だけではなく、腎臓病や消化器の病気、痛み、認知機能の変化など、ほかの病気が隠れていることもあります。
老犬の食欲不振は、早めに動物病院へ相談したほうが安心です。
老犬の歯周病で後悔しないためにできること
老犬の歯周病に向き合っていると、「もっと若い頃から歯磨きしておけばよかった」と後悔することがあるかもしれません。
私もまさにそうです。
子犬の頃から歯磨きに慣れさせておけばよかった、毎日ちゃんと磨いていればよかったと、何度も思いました。成犬の頃は歯石除去をしたこともありましたが、シニアになってからは麻酔が怖くて踏み切れていません。
でも、過去のことを責め続けても、今の愛犬の口の中は楽になりません。
老犬になると、痛みや歯のぐらつき、噛む力の低下などで、若い頃と同じケアが難しくなることがあります。また、もともと口を触られるのが苦手な子や、歯磨きに慣れていない子では、外側は拭けても内側までは磨かせてくれないこともあります。
だからこそ、「完璧な歯磨き」よりも、「今できること」を探していくことが大切だと思います。
たとえば、動物病院で相談する。薬で痛みを抑えられるか聞く。食事をやわらかくする。歯磨きシートで外側だけでも拭く。ペースト状のケア用品を試してみる。
小さなことでも、老犬にとっては大きな助けになるかもしれません。

まとめ|老犬の歯周病は「治療できない」と決めつけず、今できるケアを
老犬の歯周病は、「高齢だから治療できない」と年齢だけで決まるものではありません。まずは動物病院で全身状態や麻酔リスクを確認し、その子に合った治療やケアを相談することが大切です。
一方で、持病や体力の問題で、麻酔下の歯石除去や抜歯が難しい老犬もいます。その場合でも、抗生物質や消炎剤、鎮痛剤、自宅ケア、食事の工夫などで、痛みや不快感を減らせる可能性があります。
家で歯周病を根本的に治すことは難しいですが、悪化予防や生活の質を守るためにできることはあります。
口臭、食べない、くしゃみ、鼻水、歯のぐらつき、出血や膿などがある場合は、「年だから」と我慢させず、早めに獣医師さんへ相談してみてください。
完璧なケアができなくても大丈夫です。今できることを少しずつ積み重ねて、愛犬が少しでも穏やかに過ごせる時間を守っていきたいですね。
参考文献・サイト
・老犬は歯周病を治療できない?家で治すことはできる?|こすもす動物診療所
https://cosmos-ac.com/news/p635/
・犬の歯周病は重度になるとどうなるの?治療法や費用、口内のケアなど詳しく解説します!|楽天保険の総合窓口
https://www.rakuten-insurance.co.jp/pet/column/pet-dog_teeth.html
・高齢犬の歯周病、「治療できない」と諦める前に|にゅうた動物病院
https://nyuta-ahp.com/column/column-694/
・老犬の歯周病が心配!症状・治療法・対策など|ベッツペッツ公式サイト
https://vetzpetz.jp/blogs/column/old-dog-periodontal-disease
・重度の歯周病トイプードルの一例|リバティ神戸動物病院
https://www.liberty-ah.com/case/post4731/
・16歳6カ月トイプードルの重度歯周病治療|かず動物病院
https://kazu-ah.com/allblog/951/
・犬の歯周病はお口だけの問題じゃない!関連する全身疾患とは?|湘南ルアナ動物病院
https://ruana-ah.com/blog/1323/
・犬の重度な歯周病の治療|KINS WITH 動物病院
https://kinswith-vet.com/journal/140/
・犬の歯周病について|老犬で多い歯の病気|リアンアニマルクリニック
https://www.lien-ac.com/400
・犬の歯周病は老化を加速させる?|北川犬猫病院


