老犬が下痢をすると、「このまま様子を見ていいのかな」「老犬の下痢は死につながることもあるのかな」と不安になりますよね。
結論からいうと、老犬の下痢は一時的なこともありますが、若い犬より脱水や体力低下につながりやすいため、便の状態だけでなく、元気・食欲・嘔吐の有無まで見て判断することが大切です。
特に、血便、黒っぽい便、水のような下痢、嘔吐、ぐったりしている、食欲がない、下痢が続く・繰り返す場合は、早めに動物病院へ相談してください。
この記事では、老犬の下痢の原因、病院へ行く目安、自宅でできる食事や水分ケア、ビオフェルミンを使う時の考え方、オムツやお尻まわりのケアまで、実体験も交えてまとめます。
※獣医学系リファレンス、農林水産省資料、獣医師さん監修サイト、ペット関連企業のwebサイトなどを参考にしながら分かりやすくまとめています。参照元はこちら。
この記事でわかること
・老犬が下痢をした時の受診目安
・老犬の下痢が続く、繰り返す時に考えられる原因
・ゼリー状の下痢や血便で注意したいこと
・元気や食欲がある場合の見方
・ビオフェルミンを使う時の注意点
・下痢の時の食事、水分補給、さつまいもの考え方
・オムツやお尻まわりの清潔ケア
・我が家の老犬が下痢を繰り返した体験談
老犬の下痢は「便の状態」と「全身の様子」をセットで見る
老犬が下痢をした時は、まず便だけを見て判断しないことが大切です。
便がゆるくても、元気があり、食欲もあり、1回だけで落ち着くようなら、一時的な消化不良やストレスの可能性もあります。
一方で、老犬は体力の余裕が少なくなっています。下痢が続くと、水分や栄養がうまく吸収できず、若い犬より早くぐったりしてしまうことがあります。
次のような場合は、早めに動物病院へ相談した方が安心です。
・水のような下痢を何度もする
・下痢が2〜3日続く
・下痢を繰り返す
・血便や黒っぽい便が出る
・ゼリー状の便に血が混じる
・嘔吐もある
・食欲がない
・元気がなく、ぐったりしている
・水を飲まない、または飲んでも吐く
・持病がある
・急に体重が落ちてきた
「食べているから大丈夫」と思いたくなることもありますが、老犬の場合は、食欲があっても下痢が続くなら注意して見てあげてください。

老犬が下痢をしやすくなる原因
老犬の下痢には、いくつかの原因が考えられます。
代表的なのは、加齢による消化機能の低下です。若い頃は問題なく食べられていたものでも、シニア期に入ると消化しきれず、便がゆるくなることがあります。
ほかにも、次のようなことが下痢のきっかけになります。
・急なフード変更
・食べすぎ
・脂肪分の多い食事
・食物アレルギー
・腸内環境の乱れ
・冷え
・季節の変わり目
・雷、花火、地震、来客などのストレス
・薬の影響
・誤食
・感染症や寄生虫
・腎臓病、肝臓病、膵炎、腸の病気など
老犬の下痢は「年齢のせい」で片づけられることもありますが、実際には食事、ストレス、持病、薬、体力低下などが重なっていることも多いです。
原因をひとつに決めつけず、「最近変わったことはなかったかな」と振り返ることが大切です。
ゼリー状の下痢は大腸の刺激が関係することも
老犬の下痢で、透明や白っぽいゼリー状のものが混じることがあります。
これは粘液便と呼ばれることがあり、大腸が刺激を受けている時に見られることがあります。ストレス、食事の変化、腸内環境の乱れ、腸炎などが関係する場合があります。
1回だけで、その後すぐに普通の便に戻るなら様子を見られることもありますが、次のような場合は受診を考えてください。
・ゼリー状の下痢を繰り返す
・血が混じっている
・何度もトイレに行く
・しぶるように踏ん張る
・元気や食欲が落ちている
・下痢が続いている
赤い血が混じる場合は大腸や直腸側、黒っぽい便は胃や小腸など上の方の消化管からの出血が関係することもあるとされています。
見た目で原因を決めることはできませんが、便の写真を撮っておくと診察時に伝えやすくなります。

元気・食欲がある老犬の下痢でも油断しすぎない
「老犬が下痢をしているけど元気」
「老犬が下痢をしているけど食欲ある」
この状態は、飼い主として判断に迷いやすいところです。
元気も食欲もあり、下痢が軽く、すぐに治まるなら、フードの変化、食べすぎ、ストレス、冷えなど一時的な原因のこともあります。
ただし、老犬の場合は、元気そうに見えても体には負担がかかっていることがあります。
特に、
・2〜3日続く
・良くなったり悪くなったりを繰り返す
・食べているのに痩せる
・便の量や回数が明らかに増えた
・水分が取れていない
このような時は、早めに獣医師さんに相談した方が安心です。

老犬の下痢にビオフェルミンは使っていい?
ビオフェルミンなどの整腸剤は、腸内環境を整える目的で使われることがあります。
我が家の犬も、シニア期に下痢をした時、獣医師さんに教えてもらってビオフェルミンを使っていた時期があります。うちの子の場合は、ビオフェルミンを飲むと便が落ち着くことが多く、腸内環境の乱れが関係していたのかなと感じていました。
ただし、人間用の薬や整腸剤を自己判断で与えるのはおすすめしません。
犬の体重、持病、飲んでいる薬、下痢の原因によって、適した対応は変わります。特に、下痢が続いている、血便がある、嘔吐している、元気がない場合は、ビオフェルミンで様子を見るより先に、まずは動物病院へ相談してください。
ビオフェルミンについては、こちらの記事でも実体験をまとめています。


犬用のビオフェルミンもあります
下痢の時の食事は「消化しやすく、少量ずつ」が基本
老犬が下痢をしている時は、胃腸に負担をかけない食事を意識します。
基本は、
・ドライフードをふやかす
・冷たいものを避ける
・硬いものや脂っこいものを避ける
・一度にたくさん食べさせない
・少量を数回に分ける
・急にフードを変えない
という考え方です。
白身魚や鶏むね肉、鶏ささみなど、低脂肪で消化しやすい食材が使われることもあります。ただし、持病がある子、療法食を食べている子、アレルギーがある子は、自己判断で食事を変えず、獣医師さんに相談してください。
さつまいもやかぼちゃは、便を整える食材として紹介されることがあります。食物繊維が含まれているため、合う子には助けになることもあります。
ただし、与えすぎると逆に胃腸の負担になる場合があります。下痢がひどい時に「さつまいもを食べさせれば治る」と考えるのではなく、少量から、その子に合うかを見ながら使う程度が安心です。
老犬の食事量やカロリーについては、こちらも参考になります。

腎臓病など持病がある子の食事についてはこちらにまとめています。

下痢の時は水分補給を制限しない
下痢をしている時は、体から水分が出ていきやすくなります。
便を固めたいからといって水を減らすのは、老犬には危険な場合があります。脱水が進むと、ぐったりしたり、回復が遅れたりすることがあります。
水は常に飲めるようにしておき、冷たすぎる水ではなく、常温の水やぬるめの水を少しずつ飲ませると胃腸への負担を抑えやすいです。
自分からあまり飲まない子は、フードをふやかす、ウェットフードを使う、スープ状にするなど、食事から水分を取る方法もあります。
老犬が水を飲まない時はこちらにもまとめています。

下痢でオムツを使う時は皮膚トラブルにも注意
老犬の下痢が続くと、トイレまで間に合わなかったり、寝たまま便が出てしまったりすることがあります。
その場合、オムツは飼い主さんの負担を減らす助けになります。ただし、下痢便は皮膚への刺激が強いため、つけっぱなしにするとかぶれやただれにつながりやすいです。
気をつけたいのは次の点です。
・排便後はできるだけ早く交換する
・お尻まわりをやさしく拭く
・汚れが強い時はぬるま湯で洗う
・こすらず、押さえるように拭く
・しっかり乾かす
・肛門まわりの毛を短めに整える
・赤みやただれがあれば動物病院に相談する
お尻まわりの汚れは、放置すると皮膚トラブルにつながります。老犬は全身シャンプーが負担になることも多いので、必要な部分だけ洗う「部分洗い」も現実的です。
お尻だけ洗う方法はこちらにまとめています。

オムツかぶれ対策はこちらも参考にしてください。

下痢やゆるいうんちの処理を、できるだけ犬にも飼い主にも負担なく行う方法については、こちらの記事で詳しくまとめています。
我が家では下痢にだいぶ悩まされたので、その際に試した対応策を載せています。

体験談|うちの老犬も下痢を繰り返していました
うちの犬は、パピーの頃から下痢が多い子でした。
下痢が続いて病院へ行ったところ、牛肉のアレルギーがあると分かり、そこからアレルギー対応フードに切り替えました。それでかなり落ち着きましたが、怖がりな性格もあり、地震、花火、雷、環境の変化などでも下痢になることがありました。
シニア期に入ってからも、下痢はしょっちゅうでした。
気になる時は病院で診てもらっていましたが、特に大きな病気というわけではない時は、獣医師さんに相談しながらビオフェルミンで対応していました。
その後、19歳になって一気に体力が落ち、一時期は起き上がれないような状態になりました。
その時、かかりつけの獣医師さんから、
「腎臓の値もそこまで悪くない。もうこの歳までがんばってきたのだから、食事制限よりも元気を出すために好きなものを食べさせよう」
という提案をしてもらいました。
それまで腎臓病食を徹底していましたが、大好きだった鶏ささみやお肉の入ったウェットフードを食べさせるようにしたところ、下痢が止まり、いい状態のうんちが出るようになりました。
もちろん、これはうちの犬の場合です。
決して腎臓病食をやめることをすすめたいわけではありません。持病がある子の食事は、必ず獣医師さんと相談して決める必要があります。
ただ、老犬のケアでは「正しい食事管理」と「その子が食べる喜び」の間で悩むことがあります。
医学的に必要な管理を大切にしながらも、年齢や体力、今の生活の質を含めて、かかりつけの先生と一緒に考えていくことが大切なのだと思います。
まとめ|老犬の下痢は早めに相談しつつ、家では負担を減らすケアを
老犬の下痢は、一時的なこともあります。
でも、若い犬より体力が落ちているため、下痢が続く、繰り返す、水のような便、血便、黒い便、嘔吐、食欲不振、元気がないといった変化がある場合は、早めに動物病院へ相談してください。
家でできることは、消化にやさしい食事にすること、少量ずつ与えること、水分をしっかり取らせること、体を冷やさないこと、便や体調の変化を記録することです。
ビオフェルミンや整腸剤、さつまいもなどの食材も、合う子には助けになることがありますが、下痢の原因を見落とさないことが大切です。
老犬の下痢は、飼い主さんにとって本当に不安な症状です。
だからこそ、「いつものこと」と我慢しすぎず、必要な時は獣医師さんに頼りながら、その子にとって負担の少ないケアを選んでいきましょう。

参考文献・サイト
・Merck Veterinary Manual Differentiation of Small Intestinal from Large Intestinal Diarrhea
https://www.merckvetmanual.com/multimedia/table/differentiation-of-small-intestinal-from-large-intestinal-diarrhea
・Merck Veterinary Manual Chronic Enteropathies in Small Animals
https://www.merckvetmanual.com/digestive-system/diseases-of-the-small-intestine-in-small-animals/chronic-enteropathies-in-small-animals
・Merck Veterinary Manual Colitis in Small Animals
https://www.merckvetmanual.com/digestive-system/diseases-of-the-large-intestine-in-small-animals/colitis-in-small-animals
・農林水産省 愛玩動物における抗菌薬の慎重使用の手引き-2020-
https://www.maff.go.jp/j/syouan/tikusui/yakuzi/attach/pdf/torikumi-25.pdf
・アニコム損保 犬が下痢をしたら。危険な状態や食事・水分の与え方を解説【獣医師監修】
https://www.anicom-sompo.co.jp/inu/6554.html
・ベッツペッツ公式サイト 老犬の下痢の対処法とは? 病院にはすぐに連れていくべき?
https://vetzpetz.jp/blogs/column/old-dog-diarrhea
・KINS WITH 動物病院 食欲があるのに犬が下痢をするとき
https://kinswith-vet.com/journal/906/


