犬の往診は、獣医師さんが自宅に来て診察や治療、健康管理をしてくれる訪問診療です。
高齢犬や病気の犬、車移動が苦手な犬にとって、動物病院へ連れて行くこと自体が大きな負担になることがあります。そんなとき往診は、愛犬の体力や気持ちを守りながら、必要なケアを続けるための選択肢になります。
ただし、犬の往診にはメリットだけでなくデメリットもあります。レントゲンや手術など、病院の設備が必要な検査・処置はできないことが多いため、通院と往診を上手に使い分けることが大切です。
この記事では、犬の往診でできること・できないこと、料金の目安、往診してくれる動物病院の探し方、利用前に確認したいことをまとめます。
※往診獣医師協会、獣医師さんによる解説記事、動物病院の往診ページなどを参考にしながら分かりやすくまとめています。参照元はこちら。
この記事でわかること
・犬の往診とは何か
・犬の往診のメリット・デメリット
・往診でできること、できないこと
・犬の往診料金の考え方
・往診してくれる動物病院の探し方
・シニア犬で往診を利用するときの注意点
犬の往診とは?獣医師さんが自宅に来て診てくれる訪問診療のこと
犬の往診とは、獣医師さんが飼い主さんの自宅へ来て、犬の診察や治療、健康管理を行う診療スタイルです。
動物病院へ連れて行くのが難しい犬(多頭飼育や大型犬など)や、病院で強いストレスを感じる犬、通院が負担になるシニア犬などに利用されています。
とくにシニア犬の場合、病院へ行くまでの移動、待ち時間、診察後の疲れが想像以上に体にこたえることがあります。
我が家の高齢犬も、緑内障で両目が不自由になってから車に乗ることが怖くなり、車内で暴れる・鳴く・漏らす・よだれがひどいという状態になりました。
病院に着く前に体力を使い果たしてしまい、帰宅後はぐったり。体と気持ちの負担を考えると、車に乗せて通院することが難しくなりました。
そんなとき、地域に往診してくれる動物病院があり、今は腎臓や心臓のケア、血液検査、健康診断、介護相談などでお世話になっています。

犬の往診でできること
犬の往診でできることは、動物病院や往診医の設備によって異なります。
一般的には、次のような診療に対応していることが多いです。
・視診、触診、聴診などの一般診察
・体温測定、体重測定
・血液検査
・尿検査、糞便検査
・健康診断
・ワクチン接種
・点滴、注射
・薬の処方
・皮膚や耳のトラブルの診察
・軽いけがの処置
・慢性疾患の継続治療
・介護相談
・緩和ケア、終末期医療
シニア犬の場合、腎臓病や心臓病などの慢性疾患の経過観察、薬の相談、体調チェック、介護の悩み相談などで往診を利用しやすいと思います。
また、自宅で診てもらえることで、獣医師さんに生活環境を見てもらえるのも大きなメリットです。
寝床の場所、床の滑りやすさ、トイレまでの動線、食事の様子など、病院では見えにくい部分からアドバイスをもらえることもあります。
犬の往診でできないこと
往診はとても助かる診療スタイルですが、すべてを自宅で完結できるわけではありません。
往診では対応が難しいものとして、次のようなものがあります。
・レントゲン検査
・CT、MRI、内視鏡などの精密検査
・全身麻酔を伴う処置
・外科手術
・入院管理
・集中治療
・緊急性の高い重症対応
・強く暴れる犬の検査や処置
大きな機器や手術設備が必要な場合は、通常の動物病院や専門病院での診療が必要になります。
我が家のかかりつけの往診でも、レントゲンなどが必要な場合は近隣の動物病院を紹介してくれると聞いています。
往診を利用するときは、「往診だけで全部済ませる」と考えるよりも、普段のケアは往診、詳しい検査や緊急時は病院というように使い分けるのが現実的です。

犬の往診のメリット
犬がいつもの環境で診てもらえる
犬の往診のいちばん大きなメリットは、愛犬がいつもの環境で診てもらえることです。
病院が苦手な犬、車が怖い犬、待合室で緊張してしまう犬にとって、通院は診察前から大きなストレスになります。
自宅なら、犬が普段過ごしている場所で診察を受けられるため、移動や待ち時間による負担を減らせます。
特にシニア犬や持病のある犬は、通院そのものが体力を奪ってしまうこともあります。往診は、犬の体力をできるだけ温存しながらケアを続けられる方法です。
移動時間や待ち時間がない
往診では、飼い主さんが犬を車に乗せたり、キャリーやカートを準備したり、待合室で順番を待ったりする必要がありません。
大型犬、多頭飼い、車を持っていない家庭、飼い主さん自身の体調や事情で外出が難しい場合にも助かります。
シニア犬の介護中は、通院の準備だけでもかなり大変です。移動と待ち時間がなくなるだけで、犬にも飼い主さんにも余裕が生まれます。
生活環境を見てもらえる
往診では、獣医師さんが犬の生活環境を直接見ることができます。
たとえば、足腰が弱ってきた犬なら、床が滑りやすくないか、寝床から水飲み場まで移動しやすいか、段差が負担になっていないかなどを相談できます。
介護の悩みは、実際の暮らしの中で起こることが多いです。
自宅を見てもらうことで、薬や検査だけではなく、暮らし方のアドバイスをもらえるきっかけになります。
犬の往診のデメリット
大きな検査や手術はできないことが多い
往診では、病院にあるような大型の医療機器を使えません。
レントゲン、CT、MRI、手術、入院が必要な治療は、自宅では対応できないことがほとんどです。
体調が悪い原因を詳しく調べる必要がある場合や、緊急性が高い場合は、往診よりも病院での診療が向いていることもあります。
緊急時にすぐ来てもらえるとは限らない
往診は基本的に予約制です。
そのため、急な呼吸困難、ぐったりしている、強い痛みがある、けいれんが続く、大きなけがをしたなど、緊急性が高いときは、往診を待つより救急対応できる動物病院へ相談したほうがよい場合があります。
普段から往診医だけでなく、夜間や救急時に相談できる病院も確認しておくと安心です。
自宅に入られることが気になる場合もある
往診では、獣医師さんが自宅に入って診察します。
私はあまり気になりませんが、人によっては「部屋を見られるのが不安」「片付いていないと恥ずかしい」と感じることもあると思います。
ただ、診察に必要なのは犬が落ち着けるスペースです。完璧に掃除したり、おもてなしをしたりする必要はありません。
気になる場合は、診察する部屋だけ整えておく、見られたくない場所はドアを閉めておくなどで十分です。
犬が自宅で強気になることもある
自宅だと犬が安心する一方で、縄張り意識が強くなり、知らない人に警戒することもあります。
噛む可能性がある、隠れてしまう、触られるのが苦手などの心配がある場合は、予約時に必ず伝えておきましょう。
獣医師さん側も、犬の性格を事前に知っているほうが準備しやすくなります。

犬の往診料金はどのくらい?
犬の往診料金は、動物病院によって大きく変わります。
多くの場合、通常の診察料や検査料、薬代に加えて、往診料や交通費がかかります。
料金に関係しやすいものは次の通りです。
・往診料
・診察料
・検査料
・処置料
・薬代
・病院から自宅までの距離
・駐車場代や有料道路代
・夜間、休日、時間外の追加料金
参考サイトでは、往診料は1,000〜5,000円程度と紹介されている例もありますが、地域や距離、診療内容によって変わります。
血液検査、点滴、注射、薬の処方などがあると、当然その分の費用も加わります。
「動物病院の往診料金はいくらです」と一律には言えないので、予約前に次の点を確認しておくと安心です。
・往診料はいくらか
・診察料は別にかかるか
・距離による追加料金はあるか
・駐車場代や交通費は必要か
・検査や薬代の目安
・支払い方法
・ペット保険用の明細が出るか
料金が不安なときは、「だいたい総額でどのくらいになりそうですか?」と聞いておくと、当日あわてにくいです。
往診してくれる動物病院の探し方
近くの動物病院で往診してくれるところを探すなら、まずは「犬 往診 地域名」「動物病院 往診 地域名」で検索してみるのが分かりやすいです。
また、かかりつけの動物病院がある場合は、往診に対応しているか、または往診してくれる獣医師さんを紹介してもらえるか相談してみてもよいと思います。
往診してくれる獣医師さんを探す手段として、往診獣医師協会のサイトも参考になります。
往診獣医師協会
https://jhvca.main.jp/
往診獣医師協会では、動物の訪問診療の普及や、往診に関わる獣医師さんの技術向上を目的に活動されています。
「近くの動物病院で往診してくれるところが見つからない」という飼い主さんは、一度確認してみるとよいでしょう。

犬の往診を頼む前に準備しておきたいこと
往診を頼むときは、事前に犬の情報をまとめておくと診察がスムーズです。
準備しておきたいものは次の通りです。
・犬の年齢、体重、犬種
・今の症状
・いつから症状があるか
・食欲、飲水量、排泄の様子
・これまでの病気や治療歴
・飲んでいる薬やサプリ
・検査結果や診療明細
・ワクチン歴
・気になる症状の写真や動画
慢性疾患で通院から往診へ切り替えたい場合は、これまでの血液検査結果や薬の内容が分かるものを用意しておくと安心です。
診察スペースも、犬が横になれるくらいの場所を確保しておきましょう。
多頭飼いの場合は、診察を受ける犬以外を別室に移しておくと落ち着いて診てもらいやすくなります。
シニア犬の往診は「通院できないから終わり」にしないための選択肢
シニア犬になると、若いころのように気軽に通院できなくなることがあります。
車に乗れない、歩けない、病院で疲れ切ってしまう、目や耳が不自由になって外出を怖がる。そんな変化が出てくると、飼い主さんも「病院に連れて行くべきなのに、連れて行くことが負担になっている」と悩むと思います。
私もまさにそうでした。
車に乗せるたびに愛犬がパニックになり、診察のために連れて行っているはずなのに、かえって体力を奪ってしまうように感じていました。
往診に出会ってからは、いつもの環境で診てもらえる安心感があり、腎臓や心臓のケア、血液検査、健康診断、介護相談を続けられています。
もちろん、往診だけで何でもできるわけではありません。
でも、通院が難しくなった犬にとって、往診は「もう診てもらえない」ではなく、「別の形でケアを続ける」ための大切な選択肢になります。

まとめ:犬の往診はメリット・デメリットを知って上手に使い分けよう
犬の往診は、獣医師さんが自宅に来て診察や治療、健康管理をしてくれる訪問診療です。
高齢犬、病気の犬、車移動が苦手な犬、病院で強いストレスを感じる犬にとって、往診は体と気持ちの負担を減らせる選択肢になります。
一方で、レントゲンや手術、入院、緊急処置など、病院でなければできないこともあります。
普段の健康管理や慢性疾患のケア、介護相談は往診。詳しい検査や緊急時は動物病院。そんなふうに使い分けることが、愛犬にとっても飼い主さんにとっても安心につながります。
通院がつらくなったからといって、ケアを諦めなくて大丈夫です。
愛犬の状態に合わせて、往診という選択肢も考えてみてください。
参考文献・サイト
・一般社団法人往診獣医師協会 トップページ – 往診獣医師協会
https://jhvca.main.jp/
・ペットの往診のメリット、デメリットとは? – 金乃時アニマルクリニック
https://www.kinnotokianimalclinic.com/blog/344
・動物病院における往診とは?往診時に準備すべきことと注意点 – エース動物病院
https://ace-ah.com/2025/02/18/9053/
・ペットの往診ってどんなサービス?費用・メリット・デメリットなどを往診専門獣医師が解説 – PETOKOTO
https://petokoto.com/articles/2084
・【動物病院と往診】考えられる5つのデメリット – セカンドセレクト
https://www.secondselect.vet/2793
・往診のいいところ・悪いところ – ゆいどうぶつクリニック 往診診療所
https://www.yuivetclinic.com/%E5%BE%80%E8%A8%BA%E3%82%B3%E3%83%A9%E3%83%A0
・往診について – 往診のベル犬猫病院
https://www.bell-family.jp/examine/index.html
・獣医師監修 : 初めて往診を依頼するペットオーナー様へ – ジュイクル
https://juikuru.jp/u/withpety/46zafguhuhnk28
・動物病院の往診とは?メリット・デメリットや利用する際の注意点も解説します – 動物病院サプリ
https://animaldoc.jp/animal-column/animal-hospital-house-call/
・獣医師が家に来てくれる動物病院の往診サービスの利用方法や注意点など詳しく解説 – 動物病院サプリ
https://animaldoc.jp/animal-column/animal-hospital-comes-to-your-home/
・【ジュイクル】ペットの往診のメリット・デメリットとその方法 – ぼく達の飼い主の【ポジティぶろぐ】
https://www.posityblog.com/entry/pet-visit


